第6話:アムウェイと出会わなくても人生を変えたいと願うことはある

三流営業マンの主人公タダシ(モデルは著者)が、Amwayのミーティングで、ダイレクトディストリビュータ(DD)から授かった知識「安心感と信頼」を武器に、道を切り開き、医療現場から頼られる営業マンに成長していく物語。37回シリーズ。

大学病院での営業は、
相変わらず成果ゼロだった。
医師は忙しく、
話しかけても反応は薄い。
名刺を置いても、
誰も名前を覚えてくれない。

(俺、ほんまに営業
 向いとらんのじゃろうか)

そんな気持ちが
胸の奥にずっと残っていた。

しかし——
タダシには、ひとつだけ
得意な場面があった。

学会だ。

年に数回、
会社の費用で学会に参加できた。
循環器内科や心臓外科の
最新治療を学べる貴重な機会だ。

学会会場は、
病院とは違う空気があった。
医師たちがリラックスして歩き、
企業ブースでは
担当者が笑顔で話している。
タダシはその空気が好きだった。

(ここなら、
 俺も自然体でおれる)

学会で得た知識は、
会社の決まりで
必ずレポートにまとめる。
そして、全体会議で発表する。

タダシは、このレポート作成が
なぜか得意だった。

カテーテルの構造、
治療の流れ、
合併症のリスク。
医師の講演で聞いた言葉を
丁寧に整理し、
図にまとめる。
文章を書くときは、
広島の方言が出ない。
むしろ、
落ち着いて書ける。

(これなら、俺にもできる)

全体会議の日。
社員20名が会議室に集まる。
タダシは緊張しながらも、
レポートを手に前へ出た。

「では、
 学会レポートを発表します」

声が少し震えた。
でも、話し始めると
不思議と落ち着いた。

医師が話していた内容を整理し、

  • どの症例で
    どのデバイスが使われていたか、
  • どんな課題があるか、
  • どんな新しい治療が始まっているか。

タダシは丁寧に説明した。

発表が終わると、
社長が言った。

「タダシくん、
 分かりやすかったよ。
 君は伝える力があるな」

サトシも笑いながら言った。

「タダシ、説明うまいじゃん。
 病院でもその調子で
 話せたらいいのにな」

タダシは照れながら頭をかいた。

(俺、説明うまいんじゃろうか)

営業では成果ゼロ。
病院では誰にも話してもらえない。
方言で苦情を受けることもある。

でも——
学会レポートだけは、
褒められた。

(俺にも、できることがあるんじゃ)

その夜、タダシは自宅で
レポートを読み返しながら思った。

「俺、変わりたいんじゃ」

営業が苦手でも、
人間関係がうまくいかなくても、
方言で失敗しても、

それでも——
自分にも【できること】がある。

その小さな成功が、
タダシの胸に静かな火を灯した。

この火が、
後に大きな変化を生むことを
タダシはまだ知らない。

物語は、確実に前へ進み始めていた。

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