第1話:営業初日は名刺すら受け取ってもらえない、怪しすぎる

三流営業マンの主人公タダシ(モデルは著者)が、Amwayのミーティングで、ダイレクトディストリビュータ(DD)から授かった知識「安心感と信頼」を武器に、道を切り開き、医療現場から頼られる営業マンに成長していく物語。37回シリーズ。

病院の自動ドアが、
ゆっくりと開いた。
その向こうに広がる白い廊下は、
どこまでも静かで、
どこまでも冷たかった。

※タダシの人物像はこちら。働いている分野は違いますが、営業の最初は誰だってこうだったはず。

「今日から、ここが俺の戦場か」

医療機器営業としての初日。
胸ポケットには新品の名刺。
カバンには、
上司から渡された分厚い製品資料。
そして心の中には、
期待よりも不安のほうがずっと大きかった。

受付の女性に挨拶をし、
紹介された医局の前に立つ。
ドアの向こうからは、
医師たちの忙しそうな声が聞こえてくる。

ノックをする手が震えた。
深呼吸をして、
意を決してドアを開ける。

「失礼します。本日より担当になりました」

言い終わる前に、
医師たちの視線が一斉にこちらに向いた。
その視線は、
好奇心でも歓迎でもない。
「また営業か」という、
慣れきった無関心だった。

「今、忙しいから。
 資料だけ置いといて。」

一人の医師が、
カルテから目を離さずに言った。
その声は、まるで
壁に向かって話しているように
淡々としていた。

「はい。失礼します。」

名刺を置く場所さえ分からず、
机の端にそっと置いた。
誰もこちらを見ない。
誰も話を聞こうとしない。

廊下に出た瞬間、
胸の奥がズキッと痛んだ。

(あれ? 俺、
 何しに来たんだっけ?)

  • 営業という仕事は、もっと人と話すものだと思っていた。
  • もっと、コミュニケーションがあるものだと思っていた。
  • でも現実は、想像していたよりずっと冷たくて、ずっと孤独だった。

次の病院でも、状況は同じだった。

  • 名刺を受け取ってもらえない。
  • 話を聞いてもらえない。
  • そもそも、目を合わせてもらえない。

夕方、車に戻ったとき、
ハンドルに額をつけて
しばらく動けなかった。

「俺、向いてないんじゃないか?」

初日からそんな言葉が頭をよぎる。
自分の存在が、
誰の心にも届いていない気がした。

帰り道、
コンビニで買った
缶コーヒーを飲みながら、
ぼんやりと空を見上げた。
夏の終わりの空は、
やけに高くて、
やけに遠かった。

(このままじゃダメだ。
 何か変えないと。)

そう思った瞬間、
胸の奥に小さな火が灯った。
まだ弱々しい火だけれど、
確かにそこにあった。

この日、
主人公はまだ知らない。
今日の心が折れた瞬間が、後に

  • 大きな転機になることを。
  • そして、ある出会いが彼の人生を静かに変えていくことを。

物語は、ここから始まる。

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