ラーメンスープ②

ラーメンスープ② 健康
ラーメンスープ②
健康進路

ルミは、ユリの同期で、病棟でも有名な「健康オタク看護師」。そして雄大とは??ルミはユリの同期で、結婚式にも出席している。雄大とは「ユリの旦那さん」として顔見知り。以前、ユリの家で鍋パーティーをしたときに会っている。今回はそのルミさんによる減塩講座です

ルミとは?

そのとき、雄大がのり塩ポテチを3袋食べたのをルミは覚えていた。以来、ルミの中で雄大は「塩分まみれの危険人物」として登録されている。だからユリから相談を受けたとき、「あの人は放っておけん!」とスイッチが入った。

つまり、雄大にとっての元恋人でもなく、妙な関係でもなく、ユリの大切な人だから放っておけない同期という立ち位置でした。

塩分番長

朝7時。夜勤明けのルミは、病院のロッカーでスマホを開いた。ユリからのメッセージ。

《雄大がね、最近ちょっと血圧高くて。塩分のこと、伝えたんよ》

ルミは目を細めた。(あのポテチ3袋男が?)

ユリの結婚式のあと、ユリの家で鍋パーティーをしたときのことを思い出す。雄大は、鍋よりもポテチを食べていた。

のり塩→コンソメ→のり塩→のり塩

(あのとき私は思った。この男、塩分で死ぬタイプだと)

ルミはスマホを握りしめた。

「ユリの旦那を、塩分で死なせるわけにはいかん」

夜勤明け特有のテンションが、ルミの塩分番長スイッチを押した。

ルミは雄大にメッセージを打ち始めた。

《雄大さん、ユリから聞いたよ。塩分、気をつけてるんだって?えらいじゃん》

まずは褒める。心理戦の基本。

《でもね、営業マンは隠れ塩分が多いから注意してね》

ここで軽く脅す。

《特にポテチ、カップ麺、唐揚げ棒。あれ全部、塩分の塊だからね》

事実を突きつける。

《車の中で食べてるの、知ってるよ》

完全に脅し。送信。ルミは満足げに頷いた。

「よし。これで雄大さんは今日1日、塩分を恐れるはず」

ロッカーで着替えながら、ルミは独り言のように呟いた。

「塩分を減らすだけじゃダメなんよね。カリウムを摂らんと」

カリウムは、体の中の余分な塩分を外に出す塩分の天敵。ルミは指を折りながらつぶやく。

「バナナ、アボカド、ほうれん草、納豆。雄大さん、絶対食べてないわ」

夜勤明けのテンションは止まらない。

「よし。カリウム講座も送ろう」

ルミはスマホを取り出し、新しいメッセージを打ち始めた。

そのころ雄大は、営業車の中でコンビニの駐車場にいた。スマホが震える。

差出人:ルミ 件名:【カリウム講座①】

(講座?)

開くと、こう書かれていた。

《カリウム講座①》
雄大さん、塩分を減らすだけじゃ足りないよ。カリウムは、体の中の塩分を外に出す塩分の天敵。今日から1日1品でいいから、これ食べてね。

  • バナナ
  • アボカド
  • ほうれん草
  • 納豆
  • トマト
  • じゃがいも

《特にバナナは営業マン向け。車で食べられるし、皮を捨てるだけでOK》

最後にこう書かれていた。

《雄大さん、今日のカリウムは何にする?♡塩分番長ルミ》

雄大は震えた。(なんで俺、看護師2人に管理されてんの?)

そのころユリは病棟で、ルミからのメッセージを受け取っていた。

《ユリ、雄大さんにカリウム講座送っといたよ》

ユリは笑った。《ありがとう。雄大、絶対バナナ買うわ》

ルミは満足げに返信した。《よし。雄大さんの塩分は、私たちが守る》

ユリ《なんか戦隊ヒーローみたいになってるよ》

ルミ《塩分戦隊・減塩レンジャー》

ユリ《名前ダサい》

ルミ《じゃあ考えて》

ユリ《いや、いい》

雄大はコンビニの棚の前で立ち尽くしていた。(バナナ買うか?)手に取る。(俺、なんでバナナ買ってんだ?塩分番長に言われたから?)

でも、ユリの顔が浮かんだ。(ユリのためならまあ、いいか)雄大はバナナをカゴに入れた。その瞬間、スマホが震えた。

差出人:ルミ
《雄大さん、バナナ買った?》

(なんでわかるんだよ!?)雄大は空を見上げた。

(俺の塩分との戦いは、まだ続くんだな)

長岡の空は、今日も静かに晴れていた。

アボカド

朝。雄大がバナナを片手に出勤準備をしていると、スマホが震えた。

差出人:ルミ 件名:【カリウム講座②:アボカドの逆襲】

(また来た)

開くと、こう書かれていた。

《カリウム講座②:アボカドの逆襲》
雄大さん、昨日はバナナ食べたね。えらい。でもね、カリウムはバナナだけじゃ足りないよ。今日のテーマはアボカド。アボカド1個→バナナ2本分のカリウム。しかも、

  • 塩分を外に出す
  • 血圧を下げる
  • 腹持ちがいい
  • 営業マンの車内でも食べられる(皮むくだけ)

《今日のミッション:アボカド1個、食べること ♡塩分番長ルミ》

雄大は震えた。(アボカド車で?皮むくの?)

ユリが横で笑っていた。「雄大、今日アボカド買ってね」

(夫婦で俺を追い詰めてくる)

出勤途中、雄大はコンビニに寄った。(アボカド、アボカド)しかし、コンビニのアボカドは――固い。石のように固い。もはや武器。

雄大「これ、食べられるの?」

店員「それ、今日入ったばかりで固いですよ」

雄大「柔らかいのは?」

店員「今日は全部固いです」

(終わった)

雄大は仕方なく、アボカドサラダ(減塩ドレッシング)を買った。

(これで許してくれ)

昼前。雄大は営業車の中でアボカドサラダを食べようとした。しかし、フォークが入っていない。

雄大「え?」

袋をひっくり返す。(ない!)雄大は車内を見回した。

(手でいくか?いや、アボカドは手でいけるけど、サラダは無理)

そのとき、スマホが震えた。

差出人:ルミ
《雄大さん、アボカド食べた?》

(食べられるかぁぁぁぁ!)

雄大は泣きそうになりながら返信した。

《フォークが入ってませんでした》

すぐに返事が来た。

《手で食べなさい》

(鬼か?)

午後、営業所に戻ると、三浦と田中が待ち構えていた。

三浦「雄大、今日のカリウムどうだった?」

雄大「アボカドサラダ買ったけど、フォークが」

田中「フォーク忘れた!?それは痛い!」

三浦「よし、今日からカリウム部も作ろう」

雄大「なんで!?」

三浦「減塩だけじゃ足りない。塩分を外に出す攻めの姿勢が必要なんだ」

田中「つまり」

田中がホワイトボードに書いた。『減塩部→カリウム部(兼任)』

雄大「兼任って何!?」

三浦「今日からカリウム摂取報告も義務な」

雄大「義務!?」

田中「雄大、部長なんだから率先してやらないと」

雄大「だから俺いつ部長に!」

夜。雄大が帰宅すると、ユリが紙袋を差し出した。

「雄大、これ」

中には、

  • バナナ
  • アボカド(食べ頃)
  • ほうれん草
  • 納豆
  • トマト
  • じゃがいも

雄大「カリウムセット?」

ユリは笑った。

「雄大が頑張ってるからね。続けやすいように、家でも準備しとくよ」

雄大は胸が熱くなった。

(ユリ)

ユリは続けた。

「無理しなくていいよ。でも、今日みたいにちょっとだけ頑張るを続けてくれたら、それで十分」

雄大は深くうなずいた。

「ありがとう。俺、続けるよ」

そのとき、スマホが震えた。差出人:ルミ

《雄大さん、今日のアボカドの写真、まだ?♡》

(なんとかなるかな)

長岡の夜は、静かに更けていった。

ほうれん草

朝。雄大がアボカドを切りながら(まだ慣れていない)、「今日も何か来るんだろうな」と覚悟していた。スマホが震えた。

差出人:ルミ
件名:【カリウム講座③:ほうれん草の反乱】

(来た)

開くと、こう書かれていた。

《カリウム講座③:ほうれん草の反乱》
雄大さん、昨日アボカド食べたね。でもね、カリウムは毎日違う種類で摂るのがコツ。今日の主役はほうれん草。ほうれん草100g→バナナ1.5本分のカリウム。しかも、

  • 塩分を外に出す
  • むくみを減らす
  • 疲れにくくなる
  • 鉄分も摂れる(ユリが喜ぶ)

《今日のミッション:ほうれん草をなんらかの形で食べること ♡塩分番長ルミ》

雄大は震えた。

(なんらかの形って何?生?茹で?炒め?スムージー?俺、ほうれん草の扱い方知らないんだけど)

ユリが横で笑っていた。

「雄大、ほうれん草は茹でるだけでいいよ」

(夫婦で俺を育ててる?)

出勤途中、雄大はコンビニに寄った。(ほうれん草、ほうれん草)しかし、コンビニにあるのは、

  • ほうれん草のおひたし(塩分1.2g)
  • ほうれん草とベーコン炒め(塩分1.8g)
  • ほうれん草入りサラダ(ドレッシング別売り)

(塩分!)雄大は震えながら、ほうれん草入りサラダ(ドレッシングなし)を買った。(これなら塩分ゼロ?)レジの店員が言った。

「ドレッシングはつけますか?」

雄大「つけません!」

店員「えっ、そんな強く?」

(俺、何と戦ってるんだ)

昼前。雄大は営業車の中で、ほうれん草サラダをむしゃむしゃ食べていた。そこへ、三浦から電話が来た。

三浦「雄大、今日のカリウムどうだ?」

雄大「ほうれん草食べてる」

三浦「ほうれん草!?すげぇな!」

田中の声も聞こえる。

田中「雄大、昨日アボカド食べたんだろ?今日ほうれん草ってカリウム摂りすぎじゃね?」

雄大「え、摂りすぎってあるの?」

三浦「あるよ!カリウムは摂りすぎると」

田中「お腹ゆるくなる!」

雄大「えっ!?」

三浦「雄大、今どこ?」

雄大「高速のパーキング」

田中「危ない!トイレ近くにいろ!」

雄大「なんで俺、こんな緊張感のある昼休み過ごしてんの?」

午後。営業所に戻ると、三浦と田中がホワイトボードの前に立っていた。

三浦「雄大、今日から減塩部&カリウム部の合同ミーティングをする」

雄大「なんで!?」

田中「塩分を減らすだけじゃダメ。カリウムで攻める必要がある」

三浦「今日の議題は雄大のカリウム摂取量」

雄大「俺の議題!?」

田中がホワイトボードに書いた。

《雄大のカリウム摂取(昨日〜今日)》

  • バナナ→1本
  • アボカド→1個
  • ほうれん草→1パック
  • 納豆→1パック(朝)

三浦「雄大、摂りすぎじゃね?」

雄大「えっ!?」

田中「いや、ギリギリセーフか?」

三浦「でも、ほうれん草は強いからな」

雄大「ほうれん草強いの!?」

田中「強いよ。カリウム界のエースだよ」

雄大「エースなの!?」

三浦「雄大、今日はもうカリウム摂るな」

雄大「了解」

(俺、何の指示受けてんだ?)

夕方。雄大のスマホが震えた。差出人:ルミ 件名:【最新版・塩分チェック表】

(来た)

開くと、こう書かれていた。

《最新版・塩分チェック表(ルミ作)》

【朝】
□カップ味噌汁飲んでない?
□パンにハム挟んでない?
□コンビニおにぎり(明太子)食べてない?

【昼】
□ラーメンのスープ残した?
□丼もの頼んでない?
□唐揚げ定食避けた?

【夕】
□外食なら塩分少なめって言った?
□味噌汁は半分残した?
□カリウム1品食べた?

最後にこう書かれていた。

《雄大さん、あなたは今日も生き延びた。明日も頑張ろうね ♡塩分番長ルミ》

雄大は空を見上げた。

(俺、なんでこんなに塩分に追い詰められてるんだ。でも、なんか悪くない)

長岡の夕暮れは、静かに染まっていった。

納豆

朝。雄大は、昨日買ったアボカドを切りながら(まだ上手く切れない)、「今日は何が来るんだ」と覚悟していた。スマホが震えた。

差出人:ルミ
件名:【カリウム講座④:納豆の逆襲】

(来た)

開くと、こう書かれていた。

《カリウム講座④:納豆の逆襲》
雄大さん、ほうれん草クリアしたね。でもね、カリウムは発酵食品から摂ると吸収が良くなるよ。今日の主役は納豆。納豆1パック→バナナ1本分のカリウム。しかも、

  • 塩分ゼロ
  • 腸内環境が整う
  • 血圧にも良い
  • 営業マンの朝に最適

《今日のミッション:納豆をどこかのタイミングで食べること ♡塩分番長ルミ》

雄大は震えた。(納豆車で食べるのは無理。匂いが営業車に残る)

ユリが横で言った。

「雄大、朝ごはんに食べればいいよ」

(夫婦で俺を管理してる?)

雄大は朝食に納豆を食べることにした。しかし、タレの袋が破裂した。

雄大「ぎゃああああああ!」

ユリ「どうしたん!?」

雄大「タレがタレが!」

テーブルに飛び散る納豆タレ。床にも飛ぶ。雄大のシャツにも飛ぶ。ユリは笑いながらタオルを持ってきた。

「雄大、納豆初心者か?」

「初心者だよ!」

ユリは優しく言った。

「大丈夫。納豆は慣れだから」

(俺、何の修行してるんだ?)

出勤途中。雄大は車に乗り込んだ瞬間、気づいた。(納豆の匂い残ってる)窓を開ける。(まだ残ってる)エアコンを強風にする。(まだ)そのとき、スマホが震えた。

差出人:ルミ
《雄大さん、納豆食べた?》

(なんでわかるんだよ!?)

雄大は返信した。

《食べました。タレが爆発しました》

すぐに返事が来た。

《初心者あるある♡》

(なんで俺、看護師に納豆の報告してんだ?)

午後。営業所に戻ると、三浦と田中がホワイトボードの前に立っていた。

三浦「雄大、今日のカリウムどうだ?」

雄大「納豆食べた。タレ爆発した」

田中「爆発!?」

三浦「納豆は危険だからな」

雄大「危険なの!?」

三浦「よし、今日から健康戦隊を名乗ろう」

雄大「なんで!?」

田中がホワイトボードに書いた。

《健康戦隊・ケンコウレンジャー》

  • レッド(減塩担当)→三浦
  • グリーン(カリウム担当)→田中
  • イエロー(塩分まみれ担当)→雄大

雄大「なんで俺だけ、塩分まみれ担当なの!?」

三浦「だってお前、のり塩3袋食べるし」

田中「カップ麺も好きだし」

雄大「過去の俺を掘り返すな!」

三浦「雄大、今日からイエローとして頑張れ」

雄大「嫌だよ!」

夜。雄大が帰宅すると、ユリが夕食を作っていた。

  • 減塩味噌汁
  • ほうれん草のおひたし
  • 鶏むね肉の照り焼き(減塩)
  • 納豆(予備)

雄大は言った。

「ユリ俺、今日健康戦隊にされた」

ユリは吹き出した。

「なにそれ」

雄大「俺、イエロー塩分まみれ担当」

ユリは笑いながら言った。

「雄大、実はね、私も昔、塩分まみれだったんよ」

雄大「え?」

ユリは照れながら続けた。

「看護師になりたての頃、夜勤のたびにカップ麺食べてて、先輩に塩分の妖怪って呼ばれてた」

雄大「妖怪!?」

ユリ「だからね、雄大の気持ちわかるんよ。急に全部変えるのは無理。でも、少しずつなら変われる」

雄大は胸が熱くなった。

(ユリ。俺、頑張るよ)

そのとき、スマホが震えた。差出人:ルミ。

《雄大さん、今日の納豆の写真まだ?♡》

雄大は空を見上げた。(なんとかなるよな)長岡の夜は、静かに更けていった。

じゃがいも

朝。雄大は、昨日の納豆事件を思い出しながら朝食を食べていた。(今日は何が来るんだ)スマホが震えた。差出人:ルミ。

件名:【カリウム講座⑤:じゃがいもの覚醒】

(来た)

開くと、こう書かれていた。《カリウム講座⑤:じゃがいもの覚醒》雄大さん、納豆クリアしたね。でもね、カリウムは加熱しても減りにくい食材が便利。今日の主役はじゃがいも。じゃがいも1個→バナナ2本分のカリウム。しかも、

  • 塩分を外に出す
  • 腹持ちがいい
  • 疲れにくくなる
  • 営業マンの昼に最適
  • 皮むけば車でも食べられる(※推奨はしない)

《今日のミッション:じゃがいもをなんらかの形で食べること ♡塩分番長ルミ》

雄大は震えた。(なんらかの形?ポテトチップスはダメだよな。フライドポテトもダメだよな)

ユリが横で言った。

「雄大、じゃがいもは茹でるだけでいいよ」

(夫婦で俺を育ててる)

昼前。雄大は千葉のショッピングモール近くで営業車を停めた。(じゃがいも、じゃがいも)

しかし、周囲にあるのは、

  • マクドナルド
  • ケンタッキー
  • ファストフード3軒
  • コンビニ

(ポテトの誘惑が強すぎる)

雄大は震えながらマクドナルドの前を通り過ぎた。

(フライドポテトはじゃがいもだけど、塩分が!)

そのとき、スマホが震えた。差出人:ルミ。

《雄大さん、フライドポテトはじゃがいも扱いしないからね♡》

(なんでわかるんだよ!?)雄大は空を見上げた。(俺、監視されてる?)

雄大はコンビニに入った。(じゃがいも、じゃがいも)しかし、じゃがいも系の食品は、

  • ポテトサラダ(塩分1.5g)
  • 肉じゃが(塩分2.0g)
  • フライドポテト(塩分1.8g)
  • じゃがバター(塩分1.3g)

(全部塩分!)雄大は震えながら、「蒸しじゃが(塩なし)」を見つけた。(これだ!)しかし、最後の1個だった。雄大が手を伸ばした瞬間、隣のサラリーマンも手を伸ばした。

二人「!」

雄大(心の声)

(譲るべきか?いや、俺にはミッションが!)

サラリーマン「どうぞ」

雄大「えっ、いいんですか?」

サラリーマン「僕、ポテサラでいいんで」

雄大「ありがとうございます!」

雄大は蒸しじゃがを抱きしめた。

(俺、じゃがいもに感謝する日が来るとは)

午後。営業所に戻ると、三浦と田中が待ち構えていた。

三浦「雄大、今日のカリウムどうだ?」

雄大「蒸しじゃが最後の1個」

田中「おお!じゃがいもは強いぞ!」

三浦「よし、今日からホントに健康戦隊ケンコウレンジャーを結成する」

雄大「なんで!?」

三浦がホワイトボードに書いた。

《健康戦隊ケンコウレンジャー(正式)》

  • レッド(減塩担当)→三浦
  • グリーン(カリウム担当)→田中
  • イエロー(塩分まみれ担当)→雄大
  • ピンク(医療監修)→ユリ
  • ブラック(塩分の死神)→ルミ

雄大「ブラック怖すぎるだろ!」

田中「ブラックは必要だよ。締まるから」

雄大「締まるって何!?」

三浦「雄大、今日からイエローとして頑張れ」

雄大「嫌だよ!」

夜。雄大が帰宅すると、ユリが夕食を作っていた。

  • 減塩味噌汁
  • 蒸しじゃが(バターなし)
  • 鶏むね肉のソテー
  • トマトサラダ(カリウム)

ユリは言った。

「雄大、今日も頑張ったね」

雄大「ありがとう」

ユリは少し照れながら言った。

「雄大、来月ね、一緒に減塩料理教室行かない?」

雄大「え?」

ユリ「病院の栄養士さんがやってるやつ。夫婦で参加する人多いんよ」

雄大は胸が熱くなった。

(ユリ。俺のために)

ユリは続けた。

「雄大が頑張ってるから、私も一緒に頑張りたいんよ」

雄大は深くうなずいた。

「行くよ。一緒に行こう」

そのとき、スマホが震えた。差出人:ルミ。

《雄大さん、今日のじゃがいもの写真まだ?♡》

雄大は空を見上げた。(なんとかなるよな)長岡の夜は、静かに更けていった。

トマト

朝。雄大は、昨日のじゃがいもミッションを思い出しながら、「今日は最終回なんだろうな」と覚悟していた。スマホが震えた。差出人:ルミ。件名:【カリウム講座⑥:トマトの覚醒】

(来た、最後の講座)開くと、こう書かれていた。

《カリウム講座⑥:トマトの覚醒》

雄大さん、ここまでよく頑張ったね。今日の主役はトマト。トマト1個→バナナ1本分のカリウム。しかも、

  • 塩分を外に出す
  • 血圧を下げる
  • ビタミンCで疲れにくくなる
  • どこでも食べられる(営業マン向け)

《今日のミッション:トマトを誰かと一緒に食べること ♡塩分番長ルミ》

雄大は首をかしげた。(誰かと一緒に?なんで最後だけそんな条件?)ユリが横で言った。

「雄大、今日の夜料理教室だよ」

(あ、そうだった)

夕方。雄大とユリは、病院の栄養指導室に来ていた。参加者は夫婦が多く、みんなエプロン姿で楽しそうにしている。講師の栄養士が言った。

「今日は減塩でも美味しい料理を作ります。テーマはトマトです!」

雄大(心の声:トマト今日のミッション!)

ユリが笑った。

「雄大、運命だね」

(いや、運命って)料理が始まった。

  • 減塩トマトスープ
  • トマトとアボカドのサラダ
  • 鶏むね肉のトマト煮

雄大は不器用ながらも頑張った。しかし、トマトを切った瞬間、まな板から転がり落ちた。

コロコロコロ。

雄大「うわあああああ!」

ユリ「雄大、追って!」

雄大は転がるトマトを追いかけ、参加者たちが笑いながら見守った。

講師「大丈夫ですよ〜、トマトは逃げませんから」

雄大「逃げてますよ!」

ユリは笑いながら言った。

「雄大、こういうとこ好きよ」

雄大は照れた。(俺、何してんだ)

料理教室の終盤。突然、ドアが開いた。

三浦「雄大ー!来たぞー!」

田中「イエローの応援に来た!」

雄大「なんで来たの!?」

三浦「ユリさんから聞いた。今日、雄大が料理教室に挑戦しますって」

田中「だから俺たちも来た!」

講師「え、えっと参加者の方ですか?」

三浦「はい!レッドです!」

田中「グリーンです!」

雄大「言うなぁぁぁ!」

ユリは笑いながら言った。

「先生、この人たち、雄大の健康仲間なんです」

講師は微笑んだ。

「素敵ですね。仲間がいると続けやすいですよ」

三浦と田中は胸を張った。

「雄大、俺たちがついてるぞ!」

雄大は照れながら言った。

「ありがとう」

料理が完成し、みんなで試食する時間になった。そのとき、雄大のスマホが震えた。差出人:ルミ 件名:【最後のメッセージ】。雄大はそっと開いた。

《雄大さんへ》

今日で講座は最後にします。あなたは、

  • ラーメンスープを残せるようになった
  • 外食で塩分を気にするようになった
  • カリウムを毎日摂れるようになった
  • ユリさんと一緒に料理教室に来た

全部、すごいことだよ。雄大さん、あなたはもう塩分まみれの人じゃない。これからは、ユリさんと一緒に、ゆっくり健康になっていけばいい。私は、その背中をちょっと押しただけ。塩分番長ルミより

雄大は、胸の奥がじんわり熱くなるのを感じた。

(ルミさん、ありがとう)

ユリが隣で言った。

「雄大、泣いてるの?」

「泣いてない、汗だよ」

「室内なのに?」

「汗だよ」

ユリはそっと雄大の手を握った。

「雄大、これからも一緒に頑張ろうね」

雄大は深くうなずいた。

「うん。ユリと一緒なら、なんとかなるよ」

料理教室の帰り道。雄大はユリと並んで歩きながら思った。

(塩分との戦いは終わらない。でも、もう怖くない。ユリがいて、仲間がいて、そしてルミがいたから)

ユリが言った。

「雄大、今日のトマト美味しかったね」

雄大は笑った。

「うん。これからも一緒に食べような」

長岡の夜風が、二人の間を優しく通り抜けていった。

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