職場・家族

長岡の風②

信介は、頑張った。誰よりも頑張った。頑張り方がわからないときは、もっと頑張った。その結果、60歳になって気づいた。(あれ、俺、疲れてる?)長岡駅前のベンチに腰を下ろし、信介は缶コーヒーを開けた。「頑張るのも大事だけどよ抜き方も大事なんだよな...
職場・家族

長岡の風⑦

長岡駅前のベンチ。信介は缶コーヒーを開け、空を見上げていた。「さて、今日もなんとかなるわ」すると、ゆっくりと杖をついた男性が近づいてきた。70代後半、背筋は伸びているが、どこか寂しげな表情。
職場・家族

長岡の風⑥

長岡駅前のベンチ。信介は缶コーヒーを開け、空を見上げていた。「さて。今日もなんとかなるわ」すると、スーツ姿の男性がふらふらと近づいてきた。40代半ば、ネクタイが曲がり、目の下にはクマ。どう見ても疲れ切った会社員だ。
キャリア・将来の進路

長岡の風⑤

信介のゆるい人生相談室をお届けいたします。長岡市のゆるい空気と信介のゆるさが相談者の気持ちを自然に溶かしていく(?)様子をお楽しみください。
職場・家族

長岡の風④

部屋が驚くほどスッキリした。信介は思った。(物を捨てると、心も軽くなるんだな)。恵子が言った。「信介、いい顔してるよ」「抜けてる顔か?」「抜けてるけど、いい顔よ」信介は笑った。「まあ、なんとかなるわ」
職場・家族

長岡の風③

信介は静かに頷いた。(そうだな。人生は戦いじゃなくて、楽しむものだ)長岡の夜風が、信介の肩の力をそっと抜いていった。
キャリア・将来の進路

長岡の風①

新潟県長岡市。信介は60歳を過ぎた今も、毎朝6時に起きて散歩をする。「頑張ることは大事だぞ。夢を持て。努力しろ」子どもの頃から耳にタコができるほど言われてきた言葉。父も母も、教師も、近所の大人も、みんな同じことを言った。
キャリア・将来の進路

キャッチボール

スーパーの自動ドアが開くたび、外の風がひゅうっと入り込んでくる。レジ横のビニール袋がふわりと揺れ、私のエプロンの裾も少しだけめくれ上がる。私はマユミ、三十五歳。このスーパーでレジ係のパートを始めて、もう七年になる。
性格・自己肯定感

聞いてるつもり⑤

澄江と隆の出会いの物語。これは、聞いてるつもり物語の根っこになっている部分でした。澄江が、聞く達人になる前、まだ若くて、まだ不器用で、まだ誰かに聞いてほしいだけの女の子だった頃。そして、隆もまた、寡黙で不器用で、でも心の奥には誰にも言えない...
性格・自己肯定感

聞いてるつもり④

澄江が二十代で結婚した頃、夫の隆は、今と同じように寡黙な人だった。仕事から帰ってくると、靴を脱ぎ、黙って風呂に入り、夕飯を食べ、テレビをつけ、酒を飲む。その一連の動作に、ほとんど言葉はなかった。
性格・自己肯定感

聞いてるつもり③

澄江の若いころからの物語です。澄江が聞く達人になるまでには数々の出来事がありました。今回は、なにがあったのかをまとめました。
性格・自己肯定感

聞いてるつもり②

長崎の坂の町に、澄江が生まれたのは昭和三十年代のことだった。家の窓を開けると、海の匂いが風に乗って流れ込んでくる。幼い澄江は、その匂いが好きだった。家は決して裕福ではなかった。父は港で働き、母は内職をしながら三人の子どもを育てていた。家の中...