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不器用な親子

長崎の坂の上で育った信夫は、幼い頃から母・信江のことを料理が下手で、叱ってばかりで、ちょっと自慢が多い人だと思っていた。兄弟に囲まれたにぎやかな幼少期、中学受験で家族の形が変わっていく思春期、東京へ逃げるように進学した青年期、そして親の老い...
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聞いてるつもり⑤

澄江と隆の出会いの物語。これは、聞いてるつもり物語の根っこになっている部分でした。澄江が、聞く達人になる前、まだ若くて、まだ不器用で、まだ誰かに聞いてほしいだけの女の子だった頃。そして、隆もまた、寡黙で不器用で、でも心の奥には誰にも言えない...
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聞いてるつもり④

澄江が二十代で結婚した頃、夫の隆は、今と同じように寡黙な人だった。仕事から帰ってくると、靴を脱ぎ、黙って風呂に入り、夕飯を食べ、テレビをつけ、酒を飲む。その一連の動作に、ほとんど言葉はなかった。
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聞いてるつもり③

澄江の若いころからの物語です。澄江が聞く達人になるまでには数々の出来事がありました。今回は、なにがあったのかをまとめました。
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聞いてるつもり②

長崎の坂の町に、澄江が生まれたのは昭和三十年代のことだった。家の窓を開けると、海の匂いが風に乗って流れ込んでくる。幼い澄江は、その匂いが好きだった。家は決して裕福ではなかった。父は港で働き、母は内職をしながら三人の子どもを育てていた。家の中...
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富山の薬売り

現在37歳のケンが、古びた置き薬の箱一つを持って顧客宅の玄関先に立つとき、彼がかつて都会の喧騒を離れた郊外の大学でウェブマスターの肩書きを(自称で)手に入れていたことを知る者はいない。
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タダシ③

成人したタロウはすでに22歳、ジロウは20歳になっていた。子どもたちはそれぞれの生活を送り、家の中は以前にも増して静かになった。その静けさの中で、私の心には、ずっと喉の奥に引っかかったままの小骨のような思いが横たわっていた。それは、「私の気...
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タダシ②

家事に育児に、夫の最適化理論に振り回されながらも、笑って泣いて乗り越えてきた20年。主人公・たみが綴るのは、ちょっとズレてるけど憎めない夫・タダシと、元気いっぱいの息子たちとの日々。おにぎりの形に悩み、味噌汁の塩加減にツッコミ、家計と感情を...
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田んぼ

サトルが物心ついたころ、家の鴨居には軍服姿の父の写真がかかっていた。本人には一度も会ったことがないのに写真だけは毎日見ているので、この人はしゃべらないけど、いつも家にいると思っていた。母は農作業に出かけ、兄フサヨシは小学生ながら田んぼを手伝...
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聞いてるつもり①

海の匂いがする坂の町を、悠斗はランドセルを揺らしながら歩いていた。小学三年生の彼は、今日も胸の中に話したいことをいっぱい詰め込んで帰ってくる。玄関の扉を開けると、家の中に夕飯の匂いが広がっていた。
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線路沿いを歩けば

皆さん、こんにちは。末っ子のノブ子です。私の人生、波乱万丈すぎて、これ、本当に一人の人間の身に起きたこと?と自分でもツッコミたくなります。今日は、私の記憶の一番古いところからお話ししましょう。
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墓掃除②

エアロビクススタジオの鏡は、朝の光を反射してまぶしかった。まだ誰もいない広いフロアに、私の足音だけが響く。私は当時、二十代に入ったばかりだったが、身体はまだ軽く、音楽に合わせて動くと、心までスッと整っていくようだった。