
三流営業マンの主人公タダシ(モデルは著者)が、Amwayのミーティングで、ダイレクトディストリビュータ(DD)から授かった知識「安心感と信頼」を武器に、道を切り開き、医療現場から頼られる営業マンに成長していく物語。37回シリーズ。

学会レポートを発表した日の夜、
タダシは久しぶりに
気分がよかった。
営業では成果ゼロなのに、
なぜかレポートだけは
褒められた。
(俺にも、できることが
あるんじゃ)
その小さな成功が、
胸の奥で静かに灯っていた。
しかし翌日、
大学病院へ行くと、
現実はいつも通り
冷たかった。
循環器内科の医局。
心臓外科の医局。
どこへ行っても、
医師たちは忙しく、
タダシを見ることさえない。
「忙しいから、また後で」
「資料だけ置いといて」
「今は時間ない」
昨日の自信は、
あっという間にしぼんでいった。
(なんで、こんなに
うまくいかんのんじゃろ)
- 懇親会では笑顔で話せる。
- 若手医師は方言を面白がってくれる。
- 秘書さんは頼りにしてくれる。
なのに、
病院では誰も話してくれない。
そのギャップが、
タダシを苦しめていた。
夕方、車に戻ると、
スマホが震えた。
広島時代の友人
ユウスケからだった。
「タダシ、最近どうしとるん?」
タダシは
ため息をつきながら返信した。
「営業、全然うまくいかん
大学病院誰も話してくれんし、
名前も覚えてもらえん」
すると、すぐに返事が来た。
「タダシ、お前
人間関係の勉強したほうが
ええんじゃない?」
タダシは思わずスマホを見つめた。
「人間関係?」
「そう。営業って、
人間関係がすべてじゃろ?
お前、真面目じゃけど
人の心の扱い方、
知らんのんじゃないか?」
胸の奥がズキッと痛んだ。
(図星じゃ)
ユウスケは続けた。
「今度、
ちょっと面白い会があるんよ。
ビジネスの話もあるけど、
人間関係の勉強になる。
お前、来てみん?」
タダシは迷った。
営業がうまくいかないのは、
商品知識のせいじゃない。
方言のせいでもない。
話す技術のせいでもない。
(俺人間関係が
苦手なんじゃろうか)
その痛い自覚が、
胸に重くのしかかった。
ユウスケから
さらにメッセージが届いた。
「タダシ、お前は変われるよ。
俺はそう思っとる」
その言葉に、タダシはハッとした。
(変われる?俺が?)
車の窓から見える夕焼けは、
どこか優しかった。
タダシはスマホを握りしめ、
ゆっくりと返信した。
「行ってみるわ」
その一言が、
タダシの人生を静かに動かした。
この日、タダシはまだ知らない。
この友人の一言が、後に
- 「人は心で動く」という
学びへとつながり、 - 営業だけでなく人生そのものを
変えていくことを。
物語は、ここから大きく動き始める。







