
三流営業マンの主人公タダシ(モデルは著者)が、Amwayのミーティングで、ダイレクトディストリビュータ(DD)から授かった知識「安心感と信頼」を武器に、道を切り開き、医療現場から頼られる営業マンに成長していく物語。37回シリーズ。

タダシ(主人公)は、
最近、病院へ向かう足取りが
少しだけ軽くなっていた。
「心で営業するんじゃ」
そうつぶやきながら、
大学病院の循環器内科へ向かう。
医局の前で深呼吸をして、
ノックをする。
「失礼します。タダシです」
医師たちはちらっと見るだけで、
すぐにカルテに戻る。
その反応はいつも通りだった。
でも、タダシの心は
いつも通りではなかった。
(この人たちの価値観。
俺、理解しようとしたこと
あったじゃろうか?)
ミーティングで聞いた
言葉が胸の奥で響いていた。
「価値観を尊重することが、
人間関係の第一歩」
医師の価値観は忙しさの中にある
医局を出て廊下を歩きながら、
タダシは考えた。
(先生らは、命を扱っとる
忙しいのは当たり前じゃ
俺が話しかける時間なんて
ないんじゃ)
医師の価値観は時間だった。
患者の命を守るために、
1分1秒が大切。
(俺は、自分の都合で
話しかけとったんじゃ。
先生の価値観を尊重
できとらんかった)
胸の奥がズキッと痛んだ。
心臓外科の医局でのすれ違い
その日、
心臓外科の医局にも向かった。
「失礼します。タダシです」
若い心臓外科医が
ちらっとこちらを見て、言った。
「今、手術の準備中だから。後で」
その言葉は冷たく聞こえたが、
タダシは以前のように落ち込まなかった。
(手術前なんじゃけぇ、
当たり前じゃ。
俺の話を聞く余裕なんて
ないんじゃ。
これが先生の価値観なんじゃ)
そう思った瞬間、
胸の奥が少し軽くなった。
価値観を尊重するという難しさ
病院を出て車に戻ると、
タダシはノートを開いた。
そこに、ゆっくりと書いた。
「価値観を尊重する」
そして、その下にもう一行。
「相手の価値観は、
相手の人生そのもの」
書いた瞬間、胸の奥が
じんわりと熱くなった。
(俺は、自分の価値観
ばっかり押しつけとった。
話を聞いてほしいっていう、
俺の都合ばっかり。
先生の価値観を
理解しようとしたこと、
一度もなかった)
その気づきは、
タダシにとって大きな一歩だった。
秘書さんの言葉が、タダシの心をさらに動かした
そのとき、医局秘書さんが
廊下で声をかけてくれた。
「タダシさん、今日も
来てくれたんですね。
先生たち、今、すごく忙しいんですよ」
タダシは笑って答えた。
「そうですよね。手術前ですもんね」
秘書さんは少し驚いたように言った。
「タダシさん、最近すごく
空気読めるようになりましたね」
その言葉に、タダシは胸が熱くなった。
(俺、価値観を尊重できとるんじゃろうか?
少しだけ変われとるんじゃろうか?)
価値観を尊重することが、タダシの心を変えていく
その日の夜、
タダシはノートを閉じながら思った。
(価値観を尊重するって難しいけど、
すごく大事なんじゃ。
俺が変われば、
先生らとの関係も変わるんじゃ。)
営業が苦手でも、
人間関係がうまくいかなくても、
方言で失敗しても、
それでも——
価値観を尊重することなら、できる。
その気づきが、タダシの心の奥で
静かに燃えていた。
この日、タダシはまだ知らない。
この価値観の理解が、後に
- 医師との関係を劇的に変え、
- 営業の成果を自然に伸ばし、
- 人生そのものを変えていく
大きな軸になることを。
物語は、静かに、
しかし確実に前へ進んでいた。







