第9話:アムウェイで教わったのは「人は心で動く」ということ

三流営業マンの主人公タダシ(モデルは著者)が、Amwayのミーティングで、ダイレクトディストリビュータ(DD)から授かった知識「安心感と信頼」を武器に、道を切り開き、医療現場から頼られる営業マンに成長していく物語。37回シリーズ。

初めて参加したミーティングから
数日が経った。

タダシ(主人公)の胸の奥には、
あの日の言葉がずっと残っていた。

「人は心で動く」

講師が静かに言ったその一言は、
営業で成果ゼロのタダシにとって、
まるで救いのようだった。

(心で動く?じゃあ、
俺が医局で誰にも話してもらえんのは
心を開いてもらえてないから
なんじゃろうか)

大学病院の循環器内科。
いつものように医局の前で
深呼吸をする。

「失礼します。タダシです」

医師たちはちらっと見るだけで、
すぐにカルテに戻る。

その反応は、
いつもと同じだった。

でも——タダシの心は、
いつもと少し違っていた。

(俺、商品を
 売ろうとしてばっかりじゃった
 顔を売れって、社長に言われたのに
 心を開いてもらう努力、
 してなかったんじゃ)

医局を出て廊下を歩きながら、
タダシは自分の胸に問いかけた。

(俺は、医師の心を
 理解しようとしたことが
 あったじゃろうか?
 忙しい先生の立場に立ったことが
 あったじゃろうか?
 聞く姿勢、ちゃんと
 できとったじゃろうか?)

答えは、全部「いいえ」だった。

そのとき、スマホが震えた。
ユウスケ(友人)からだった。

「タダシ、あの会どうじゃった?」

タダシは少し考えてから返信した。

「なんか、胸に刺さった。
 人は心で動くて言葉が、
 ずっと残っとる」

ユウスケからすぐに返事が来た。

「それが本質じゃけぇな。
 営業も、仕事も、人生も、全部
 心なんよ」

タダシはスマホを握りしめた。

(心。俺はずっと、技術とか知識とか、
 そういうもんばっかり気にしとった。
 でも、医師が動く理由は心なんじゃ)

その瞬間、
胸の奥で何かがカチッと音を立てた気がした。

病院の駐車場に戻り、
車に乗り込む。

夕方の光がフロントガラスに反射して、
車内が少しだけ暖かい。

タダシはハンドルを握りながら、
ゆっくりとつぶやいた。

「俺、変わりたいんじゃ」

その言葉は、誰に向けたものでもない。

ただ、自分の心の奥から
自然に出てきた言葉だった。

その夜、タダシは自宅でノートを開いた。
学会レポートを書くときに
使っているノートだ。
そこに、ゆっくりと書いた。

「人は心で動く」

そして、その下にもう一行。

「俺は、心を扱える人になりたい」

書いた瞬間、胸の奥がじんわりと熱くなった。

(俺にも、できるんじゃろうか?
 心を扱うなんて、難しいこと。
 でも、やってみたい)

この日、タダシはまだ知らない。

この心の決意が、後に

  • 医師との関係を劇的に変え、
  • 営業の成果を自然に伸ばし、
  • 人生そのものを変えていく

大きな一歩になることを。

物語は、静かに、しかし
確実に前へ進んでいた。

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