第21話:アムウェイでは多分無理。医師からの依頼を受ける

タダシ(主人公)は、最近、
病院へ向かう足取りが明らかに
軽くなっていた。

  • 相談されるようになった。
  • 困りごとを解決できるようになった。
  • 医師のほうから声をかけてもらえるようになった。

(営業ってこうやって関係が
 できていくんじゃ)

その実感が、タダシの胸の奥で
静かに燃えていた。

循環器内科で起きた初めての正式依頼

医局の前で深呼吸をして、
ノックをする。

「失礼します。タダシです」

若手医師がすぐに声をかけてきた。

「タダシさん、今日ちょっと
 お願いがあるんですよ」

タダシは落ち着いて答えた。

「はい、なんでしょうか?」

若手医師はカルテを閉じて、
タダシのほうを向いた。

「来週の症例で使う
 デバイスなんですけど。
 メーカーの担当者として、
 正式に立ち会ってほしいんです」

タダシは思わず息を呑んだ。

(正式に?俺が?)

若手医師は続けた。

「タダシさん、最近す
 ごく頼りになるし、 
 症例の理解も深いから、
 立ち会ってもらえると
 安心なんですよ」

その言葉に、タダシは
胸がじんわりと熱くなった。

(俺正式に頼りにされとる!
 安心感が、信頼に変わっとるんじゃ!
 そして、信頼が
 依頼につながっとるんじゃ!)

心臓外科でのもう一つの依頼

その日、心臓外科の医局にも向かった。
廊下を歩いていると、
心臓外科医が声をかけてきた。

「タダシさん、ちょうどよかった。
来週の手術、
メーカーの立ち会いが
必要なんですよ」

タダシは驚いた。

(また?俺に?)

心臓外科医はカルテを
持ちながら言った。

「症例が特殊で。
 デバイスの扱いに詳しい人が
 いてくれると安心なんです」

タダシは落ち着いて答えた。

「はい、もちろん立ち会います。
 先生の症例に合うように、
 準備しておきますけぇ」

心臓外科医はうなずいた。

「助かります。
 タダシさん、
 ほんと頼りになりますよ」

その言葉に、タダシは胸が熱くなった。

(俺必要とされとる!
 先生らが、俺を仕事の一部として
 見てくれとる!
 これが営業の本質なんじゃ!)

秘書さんの言葉が確信に変わった

廊下で秘書さんが声をかけてくれた。

「タダシさん、先生たちが
 タダシさんに立ち会って
 ほしいって言ってましたよ」

タダシは思わず聞き返した。

「ほんまですか?」

秘書さんは笑った。

「はい。
 タダシさん、前より
 ずっと落ち着いてますし、
 慌ててない感じが
 安心するんですよ。
 だから、先生たちも正式に
 お願いしやすいんだと思います」

その言葉に、タダシは
胸がじんわりと熱くなった。

(俺変わっとるんじゃ。
 安心感が、信頼に
 変わっとるんじゃ。
 そして、信頼が正式な依頼に
 つながっとるんじゃ。)

正式な依頼という初めての経験が、タダシの心を変えた

その日の夕方、車に戻ったタダシは
ノートを開いた。
そこに、ゆっくりと書いた。

「安心感→信頼→相談→依頼→呼びかけ→公式の依頼」

そして、その下にもう一行。

「信頼が積み重なると、
 仕事が自然に生まれる」

書いた瞬間、胸の奥が
じんわりと熱くなった。

(俺は、商品を売る前に、
 安心感を売っとったんじゃ
 それが、先生らの心を開いとるんじゃ
 そして、正式な依頼に
 つながっとるんじゃ)

営業が苦手でも、
人間関係がうまくいかなくても、
方言で失敗しても、

それでも——
安心感なら、態度で伝えられる。

その気づきが、
タダシの心の奥で静かに燃えていた。

この日、タダシはまだ知らない。
この正式な依頼が、後に

  • 医師との関係を劇的に変え、
  • 営業の成果を自然に伸ばし、
  • 人生そのものを変えていく

大きな軸になることを。

物語は、静かに、
しかし確実に前へ進んでいた。

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