
茨城県常陸大宮市。久慈川の清らかな流れと緑豊かな山々に囲まれたこの街で、今日も今日とて賑やかな声が響いていた。市立保育園で保育士として働く千穂(ちほ)は、根っからのアクティブ派だ。週末になれば夫と小学2年生の娘・リョウコを連れて、奥久慈の山へキャンプに行ったり、久慈川で川遊びを楽しんだりしている。
久慈川

保育士という職業柄、千穂は子どもの行動を観察するのが得意だった。そして最近、我が家のリョウコを見ていて「なるほどなぁ」と思うことがあった。きっかけは、千穂自身の圧倒的なうっかり性分だった。
千穂は仕事では頼れる保育士だが、家では実にアバウトで、よく笑える失敗をする。ある日の夕食時。千穂は常陸大宮名物の常陸秋そばを茹で、特製のつゆを食卓に出した。リョウコと夫が一口すすった瞬間、同時に「ぶっ!」と吹き出した。
「お母さん!これ、めんつゆじゃなくて、お酢だよ!めっちゃ酸っぱい!」
「えっ!?ウソでしょ!?」
千穂は瓶を二度見して、自分の頭をぽんと叩いた。
「あはは!やっちゃったー!ポン酢の瓶と間違えちゃったわ!薄口のめんつゆと色同じだから完全に騙された〜!」
千穂は腹を抱えて大笑い。責めるどころか、涙を流して笑っている。
「じゃあ、次はどうしようかな!んー、この酸っぱいおつゆは、ごま油足して中華ドレッシングに変身させて、サラダにかけて食べちゃおう!おそばのつゆは、本物のめんつゆで作り直し!」
「いいねー!リョウコ、中華ドレッシングのサラダ食べる!」
千穂の家庭では、こんな光景が日常茶飯事だった。キャンプでテントのポールを忘れて「うわ、やっちゃった!じゃあ木とロープでタープ基地作ってみよう!」とワクワクしながら工夫したり、ドライブで曲がる角を間違えて「あら、迷子!でも綺麗なヒマワリ畑見つけたから結果オーライだね!」と車内で歌ったり。
千穂にとって、失敗は「ダメなこと」ではなく、「次にどう楽しむかの材料」でしかなかった。そんなある日、リョウコが学校から算数のテストを持ち帰ってきた。リビングで千穂が夕飯の仕度をしていると、リョウコが「お母さん、テスト戻ってきた〜」と答案用紙を出してきた。
見ると、点数は70点。計算のうっかりミスと、ちょっと難しい文章問題でバツがついている。千穂は「どれどれ〜」と笑顔で受け取った。ここで千穂は、自分が保育園で見てきた「2つのタイプの子どもたち」のことを思い出していた。
保育園の保護者には、何でも完璧にこなす素晴らしいお父さん・お母さんがいる。
料理も手際が良く、持ち物の準備も完璧。だが、そういった家庭の子に限って、お絵描きで少し線がはみ出したり、ブロックで思い通りにいかないと「もうやらない!」と激しく癇癪を起こしたり、間違いを極端に怖がることがあった。親が完璧であればあるほど、子どもは「間違える自分=ダメな子」と思い込んでしまうのだ。
一方で、千穂のように親が「やっちゃった〜!」と失敗を笑い飛ばし、「次はどうしようか」と前向きに切り替える家庭の子は、絵が失敗しても「あ、ヘビになっちゃった!じゃあここに目描こう!」とたくましく楽しむ。
(言葉で間違えてもいいんだよって100回言うより、親が失敗して笑ってる姿を見せる方が、ずっと子どもに伝わるのよね)
千穂は答案用紙を見つめながら、明るい声を張り上げた。
「おっ!リョウコ、ここ間違えたんだ!チャンス到来じゃん!」
「え?チャンス?」
リョウコが目を丸くする。
「そうだよ〜!間違えた場所が分かったってことは、ここを直したらリョウコのレベルが上がっちゃうってことでしょ!どこでやっちゃったのか、一緒に見てみようよ!」
「うん!ここね、引き算なのに足し算しちゃったの。あちゃーって感じ!」
リョウコは落ち込むどころか、まるで宝探しでもするように赤ペンのついた問題を覗き込んだ。
「あはは、お母さんがポン酢とおつゆ間違えたのと同じやつだね!」
「本当だ!仲間だね〜!じゃあ次はどうする?」
「次は、記号の上に大きくひきざん!って書いてから計算する!」
「いいねぇ!その作戦、大正解!」
リョウコは自分で消しゴムをかけ、楽しそうに直しに取りかかった。間違い直しは、罰ではなく、強くなるためのレベルアップなのだと、彼女は体感で知っていた。
水切り遊び

週末、久慈川の河川敷でバーベキューをしていた時のこと。リョウコが水切り(河原の石を投げて水面を跳ねさせる遊び)に挑戦していた。しかし、何度投げても石は「ドボン!」と沈んでしまう。隣で見ていた他の家族の子が「うまくできない〜」と泣きそうになって諦めてしまったが、リョウコは違った。
「うーん、やっちゃった!角度が急すぎたわ!」
リョウコは腰に手を当て、千穂そっくりのポーズで笑った。
「じゃあ、次は、もっと平らな石を探して、横から投げてみよう!」
何度も「ドボン!」と失敗しながらも、リョウコは目を輝かせて石を探し続けた。そして5回目、石は「ポン、ポン、ポン!」と軽やかに水面を跳ねた。
「やったー!できたー!」
嬉しそうに駆け寄ってくるリョウコを、千穂は思い切り抱きしめた。
「すごーい!リョウコ、失敗したあとに次はどうしようって考えたから上手くいったね!」
「へへ、失敗はレベルアップの材料だからね!」
夕日がつややかに久慈川を照らす中、千穂とリョウコの元気な笑い声が、どこまでも高く響き渡っていた。
お迎えの時間

常陸大宮市立の保育園。夕方のお迎えのピークを迎え、園庭には子どもたちの賑やかな声と、保護者たちの「ただいま〜」「おかえり〜」の声が飛び交っていた。千穂が担当する4歳児クラスの部屋では、お絵描きのお片付けが始まっていた。
「あーっ!もうやだ!ぜんぶダメになっちゃったぁぁぁ!!」
突然、かん高い泣き声が部屋に響き渡った。男の子のタツキくんだ。
見ると、タツキくんが描いていたアンパンマンの顔の横に、うっかり緑色のクレヨンで「シャッ」と1本太い線が入ってしまっていた。タツキくんは顔を真っ赤にして画用紙をクシャクシャに丸めようとしている。
「どうしたのタツキくん?」
千穂はサッと駆け寄ると、優しくタツキくんの手を包み込んだ。
「アンパンマン描いてたのに、みどり色がついちゃった。もう終わりだ」
「そっかぁ、手がすべっちゃったんだね。でもね、タツキくん。これ、超カッコいいみどりのマフラーに見えない?」
「え?マフラー?」
「そう!あちゃー、やっちゃった!って思った時はね、チャンスなんだよ。じゃあ、次はどうしようかなって考えると、前よりカッコよくなるの!」
千穂が緑の線の上にササッと緑のクレヨンで塗り足すと、アンパンマンが緑のスカーフを巻いたヒーローに変身した。タツキくんの目が点になり、涙がピタッと止まった。
ちょうどその時、お迎えにやってきたのがタツキくんのお母さんだった。お母さんは仕事も完璧にこなす、いつも隙のない綺麗な人だ。しかし、タツキくんが泣いている様子を見て、申し訳なさそうに肩を落とした。
「千穂先生、すみません。うちの子、家でもそうなんです。ちょっと折り紙がズレたり、お絵描きで間違えたりすると、すぐにもうやらない!って癇癪を起こしちゃって。もっと大丈夫だよ、間違えてもいいんだよって言い聞かせてるんですけど、全然ダメで」
お母さんは困り果てた顔で溜息をついた。千穂はタツキくんが変身したアンパンマンの絵に夢中になっているのを確認すると、お母さんにニコッと弾けるような笑顔を向けた。
「お母さん、落ち込まないでください!タツキくん、すごく一生懸命だからこそ、悔しいんですよね。でもね、実は間違えてもいいんだよって言葉で100回伝えるより、もっと効果バツグンの裏ワザがあるんですよ!」
裏ワザ

「裏ワザですか?」
「はい!お母さんが家で豪快に失敗して、爆笑する姿を見せることです!」
お母さんは目を丸くした。
「えっ?失敗を見せる?」
「そうなんです!私ね、家でしょっちゅう、やっちゃった〜!ってやってるんですよ。この前もお蕎麦のつゆとお酢を間違えて、家族で酸っぱいー!って大爆笑で。そのあと、じゃあ、次はどうしようか!って、サラダのドレッシングに変身させたんです」
お母さんはポカンとした後、思わずクスッと吹き出した。
「お、お酢ですか!?」
「そうなんです(笑)。子どもって、親のことを完璧で間違えないすごい人って思ってるんですよね。だから、完璧なお母さんを見ていると間違える自分はダメな子なんだって怖くなっちゃうみたいで。でも、親がうわ、失敗した〜!あはは、じゃあ次はこうしてみよう!って笑って切り替える姿を見ていると、子どももあ、間違えても次はどうするか考えればいいんだ!って思えるようになるんです」
千穂はタツキくんが描いた、マフラー付きアンパンマンを指さした。
「言葉よりも、お母さんの行動の方が子どもには何倍も染み込むんですよね。失敗=ダサいことじゃなくて失敗=レベルアップの材料なんだって、お母さんの背中から学んでいくんです。だからお母さん、今日から家でドジな自分を隠さなくて大丈夫ですよ!むしろドヤ顔でやっちゃった!って言ってみてください!」
お母さんは、ハッとしたようにタツキくんを見つめ、それから肩の力を抜いて、晴れやかな笑顔になった。
「私、家でもちゃんとしたお母さんでいなきゃって張り詰めすぎてたのかもしれません。失敗するところ、全然見せてなかったです」
「完璧なお母さんじゃなくて全然オッケーです!一緒にやっちゃった〜って笑い飛ばしていきましょう!」
その日の帰り際、タツキくんがお母さんの手を引っ張りながら言った。
「おかあさん、きょうのごはん、なにー?」
お母さんは一瞬考えたあと、千穂の方をチラッと見て、ニッコリと笑った。
「うーん、今日はちょっと失敗してハンバーグの形が崩れちゃったんだけどね。じゃあ、次はどうしようかって考えたら、特製そぼろ丼に変身させることにしたの!一緒に食べよう!」
「えーっ!そぼろどん!?やったー!」
元気に走っていく親子の後ろ姿を見送りながら、千穂は久慈川の風を感じて、嬉しそうに胸を張ったのだった。
男体山

常陸大宮市の秋。奥久慈の山々が鮮やかな赤や黄色に染まる最高の行楽シーズン、千穂一家は元気いっぱいに奥久慈男体山(なんたいさん)の麓にあるキャンプ場へと向かっていた。車内では、千穂、夫のダイスケ、そして8歳のサツキ改めリョウコ(※我が家の元気印)が、ラジオに合わせて大熱唱している。
「今日は最高の登山&キャンプ日和!パパッと登って、山頂で美味しい山ご飯食べて、夜は豪華にバーベキューだよ〜!」
千穂がハンドルを握りながら拳を突き上げると、後部座席のリョウコも「オーッ!」と手を挙げた。しかし、千穂一家の旅が「フツー」に終わるはずがなかった。まずは第一の事件、山頂直前の広場での昼食タイム。
「さあ!待ちに待った特製奥久慈しゃも肉と秋野菜のホイル焼きを作るよー!」
千穂がリュックからルンルン気分で食材を取り出し、カセットコンロを用意した。しかし、どれだけカセットボンベのボタンを押しても、カチッカチッと虚しい音が響くだけで、一向に火がつかない。ダイスケがコンロを覗き込んだ。
「ねえ、千穂。これ、点火用の火花が出るパーツ、折れてない?」
「えっ!?マジで!?」
千穂はコンロを二度見した。先週、家で掃除した時にうっかり落とした時の傷である。
「うわぁぁーっ!やっちゃったー!!火がつかないじゃん!ガスあるのに火がつかないって、一番悲しいコントだよこれ!」
千穂は頭を抱えるどころか、あまりの間抜けさにギャハハ!と大爆笑し始めた。
「お母さん、しゃも肉食べられないの!?」とリョウコが目を丸くする。
「甘いよリョウコ!試されているのよ、私たちの野外サバイバル能力がね!火がないならどうする?じゃあ次はどうしようか!」
千穂は腕を組んでキラリと目を光らせた。
「ダイスケ!リュックに予備のチャッカマン入ってたよね!?」
「あ、あった!」
「よし!チャッカマンで直接バーナー口に火をつける手動点火作戦で行くよ!リョウコ、風除けのガードになって!」
「アイアイサー!」
3人は「せーの!」で息を合わせ、チャッカマンをカチッ。見事にボッ!と火がついた瞬間、3人で「勝ったーーー!!」と抱き合って大歓声をあげた。ただの昼食作りが、まるで宇宙ロケットの発射成功並みの感動に変わっていた。なんとか山頂を制覇し、下山してキャンプ場に到着した夕方。第二の事件が牙をむく。
バーベキュ

「よし!今夜のメインイベント、バーベキューとテント設営だ!」
ダイスケが張り切ってトランクを開け、キャンプギアを引っ張り出し始めた。しかし、大きなバッグを開けたダイスケの動きがピタリと止まった。
「千穂。リョウコ」
「なにー?」
「テントの骨組み(ポール)が入ってない」
「え?」
千穂とリョウコがバッグの中を覗き込む。そこには、綺麗に畳まれたテントの布だけがポツンと収まっていた。
「うわあああ!骨、忘れたー!!布しかない!これじゃただの巨大なレジャーシートだよ!」
千穂は膝から崩れ落ち、そのまま腹を抱えて転がり回った。
「ウソでしょ!?ポールだけ家に忘れてきたの!?あははは!布だけで寝たら、夜中にただの怪しい布の塊になっちゃうじゃん!」
リョウコも千穂の爆笑につられて、「お母さん、顔がツチノコみたいになってる!」とお腹を抱えてゲラゲラ笑い出した。
「笑ってる場合じゃないって二人とも〜!」と困り顔のダイスケだったが、あまりに楽しそうな妻と娘を見て、ついに吹き出してしまった。
「よーし!テントの骨を忘れた!じゃあ、次はどうしようか!」
千穂はサッと立ち上がると、キャンプ場の周囲を見回した。
「ラッキーなことに、ここは木がたくさん生えている奥久慈のキャンプ場!そして我が家には、ハイキング用のロープとペグがある!」
「あ!お母さん、木と木の間にロープを張って、布を引っかければ」
「そう!ハイパー基地風タープテントの完成よ!」
千穂とダイスケ、リョウコは即席の建築チームを結成した。丈夫な木を選び、ロープを結びつけ、テントの布を三角屋根のように被せてペグで地面に打ち込む。15分後。出来上がったのは、不恰好だが秘密基地感満載の、世界にひとつだけのオリジナルテントだった。
「見てこれ!なんか昔のアニメに出てくる野営基地みたいで超カッコいいじゃん!」
「すごい!中に入ると秘密基地みたい!」
リョウコが目を輝かせてテントの中に飛び込んでいく。その夜。自分たちで工夫して火をつけ、焼き上げた奥久慈しゃも肉を頬張りながら、3人は星空を見上げた。
「今日、火がつかなかったのも、テントの骨忘れたのも、めちゃくちゃ面白かったね!」とリョウコ。
「でしょ?完璧なキャンプなんてつまんないのよ。ハプニングがあるからレベルアップできるんだから!」
千穂が缶ビールをプシュッと開け、ダイスケとリョウコ(ジュース)と乾杯する。失敗を隠さず、笑い飛ばし、「じゃあ次はどうしよう」と家族みんなで頭をひねる。その楽しさを全身で知っているリョウコは、これからどんな壁にぶつかっても、きっと笑いながら乗り越えていけるはずだ。奥久慈の夜空に、どこまでも明るい千穂一家の笑い声が、いつまでも響き渡っていた。
常陸大宮市の秋。久慈川の河川敷に、威勢の良い掛け声と香ばしい醤油の香りが漂っていた。
グルメフェス

地域の賑わいイベント「常陸大宮・ご当地グルメフェス」。その一角にある水戸の大学のサークルブースで、19歳になったリョウコは、ハチマキをしめて巨大な鉄板の前に立っていた。彼女が率いるサークルが出店しているのは、地元特産の常陸秋そば粉を使った「創作焼きそば」。しかし、開店からわずか10分後、第一の惨劇が襲いかかる。
「リョウコちゃん、大変!!」
後輩の男子学生が顔を蒼白にして駆け込んできた。
「タレの配合間違えた!隠し味の味噌とニンニクペーストの量を10倍入れて激辛ドロドロになっちゃった!試食したら舌が痺れるレベルだよ!どうしよう、開店しちゃったのに全部パーだ!」
ブース内には「終わった」「もう撤退か」と絶望的な空気が漂う。後輩の中には半泣きになる者までいた。だが、リョウコは違った。彼女は腕を組み、額に手を当てて「あちゃー!」と一瞬叫んだ後「ギャハハハ!」と豪快に大爆笑した。
「うわっ、やっちゃったー!10倍はヤバいね、まさにデスソース!」
「リ、リョウコさん!?なんで笑ってるんですか!?」
「だって面白じゃん!失敗したってことはさ、ここから大逆転のレベルアップができるってことでしょ!やっちゃった!の次は、どうする?」
リョウコは不敵な笑みを浮かべ、速攻で脳内の記憶検索エンジンを回した。幼い頃、ポン酢とおつゆを間違えた母・千穂が「じゃあドレッシングにしよう!」と笑っていたあの姿が、鮮明に脳裏に浮かぶ。
「よし、作戦変更!この激辛ドロドロタレは焼きそばのタレとしては失敗!でも、激辛スタミナホルモン焼きの味付けとしては最強のはず!」
リョウコはすぐさま隣の精肉店ブースへダッシュ。店主のおじさんに「おじさん!タレ作り失敗して激辛になっちゃったから、ホルモン分けて!」と笑顔で交渉し、大量の豚ホルモンをゲットしてきた。
「さあ、みんな!激辛スタミナ常陸そば焼きにメニュー変更よ!鉄板でホルモンとキャベツを香ばしく炒めて、この特製(失敗)激辛タレを絡める!仕上げに生卵をポンと落とせばほら!」
ジューッ!という豪快な音と共に、食欲をそそるニンニクと香ばしい醤油の香りが煙となって会場全体に広がる。
「うわーーー。めちゃくちゃ美味そう!」
後輩たちがゴクリと唾を呑み込んだ。
「仕上げにPOP書き直して!辛党集まれ!試作中の事故から生まれた奇跡の激辛スタミナそばってドヤ顔で書くのよ!」
「はいっ!!」
半泣きだった後輩たちも、リョウコの圧倒的な明るさと前向きな巻き込み力に感化され、目を輝かせて動き出した。
「いらっしゃい、いらっしゃい!事故から生まれた(?)激辛スタミナそば、限定50食だよ〜!」
リョウコの大声と香ばしい煙に誘われ、ブースの前にはあっという間に長蛇の列ができた。食べた客からは「辛い!でもウマい!」「生卵と絡めると最高!」と大絶賛。わずか1時間で完売してしまった。
「やったー!完売だーー!!」
ハイタッチをして喜ぶ後輩たちの中で、リョウコは冷えたお茶を飲みながらニシシと笑った。
(お母さん見てる?失敗はやっぱり、最高のレベルアップの材料だよ!)
遠く離れた実家で、今頃「またお米の水の量間違えちゃった〜!」と笑っているであろう千穂の顔を思い浮かべながら、リョウコは満足げに秋空を見上げるのだった。
🧠ここでリョウコからのクイズです!

【問題】リョウコがピンチをチャンスに変えられた根底にある、母・千穂の教育方針(マインド)に関する記述として、最も当てはまるものはどれでしょう?
A:親が何でも完璧にこなす姿を見せることで、子どもに正しい手本を示した。
B:子どもが間違えた時に「間違えてもいいんだよ」と口頭で100回言い聞かせた。
C:親が失敗した時に隠さず笑い飛ばし、「次はどうしよう」と切り替える行動を日常的に見せた。
正解だと思う記号を選んで教えてくださいね!






