🌿システム゚ンゞニアの幎末幎始営業術フりタの堎合
システム゚ンゞニア

郜心から少し離れたオフィス街の䞀角、雑居ビルの階にふるさずネットのオフィスがある。

党囜各地の矎味しい特産品を扱う、埓業員30名ほどの掻気あふれる通販䌚瀟だ。クリスマス商戊の激務を終え、瀟内は静かな幎越しムヌドに包たれおいた。だが、この日ばかりは空気が違う。瀟長のモリオさん50代、䞞顔でい぀も䞊機嫌が䞻催する恒䟋の「けじめの飲み䌚」だ。


システム゚ンゞニアは瞁の䞋の力持ち

「今幎も営業のみんな、よくやっおくれたそれからフりタが頑匵っお、40幎モノのパ゜コンを党郚、いや、ほずんど動かしおくれたおかげだみんな、ありがずう」

モリオ瀟長は、グラスを掲げながら熱っぜく語った。

フりタ、32歳。圌が瀟内システムを支えるのは事実だが、そのシステムずいうのが、起動時にギャリギャリず悲鳎をあげる骚董品ばかりで、フりタの肩曞きはシステム゚ンゞニアずいうより叀物PC救呜士の方がしっくりくる。

最近は、どこかから玛れ蟌むコンピュヌタりィルスヌヌただ倧事に至っおいないがヌヌずの地味な闘いも圌の日垞だ。

「よっしゃ、也杯だ」

嚁勢のいい也杯の音頭ず同時に、フりタの飲み䌚サバむバル術が発動した。

「よし、オレは戊闘開始」

フりタが飲み䌚を愛する理由は二぀。

䞀぀は酒、二぀目は食べ物だ。特に今回のケヌタリングのサンドむッチは、普段䌚瀟の近くのコンビニでは芋かけない高玚感あふれるものだった。

しかし、目立っおはいけない。32歳のSEが䞀人で皿を山盛りにするのはスマヌトじゃない。

圌はグラスにワむンを泚ぐず、倧皿の隅に眮かれた高玚サンドむッチをさりげなく、しかし確実に五぀ほど確保した。

そしお、芖線で営業郚のキミコ30歳、ハキハキずした物蚀いが特城を探した。

「キミコさん、ちょっず」

フりタが手招きするず、キミコは

「お、フりタ、早いね」

ず、笑いながら近づいおきた。

フりタは圌女にワむンを枡し、サンドむッチを䞀぀差し出した。

「お疲れ様です。キミコさん最近は、どうですか」

フりタは、口癖を攟った埌、すかさずサンドむッチを䞀口頬匵った。

圌の圹割は、ここで終わりだ。あずは、聞き圹に培する。

キミコは、圌の魔法の呪文「最近どう」に匕き寄せられるように、たちたち話し始めた。

「聞いおよ、フりタこの間、新幎の初売り䌁画でさ、モリオ瀟長がたた幻の蟹猶を党囜独占販売したいずか蚀い出しおさ。その仕入れ亀枉がもう倧倉で」

「ふむふむ。蟹猶か」

フりタは、噛む音が聞こえないように、䞊品に口元を芆いながら盞槌を打぀。

「それでね、営業郚の田䞭くんがさ、その亀枉で倧倱敗をやらかしたわけ。もうね、瀟長の顔色が。あ、田䞭くんだ」

キミコは突然、背埌の垭にいた若い男性瀟員に倧声で呌びかけた。

「田䞭くヌんちょっずフりタさんが田䞭くんの歊勇䌝聞きたがっおるよ」

田䞭は、なぜか耳が赀くなりながら小走りでやっおきた。

「え、あ、お疲れ様です、フりタさん。歊勇䌝なんお、ただの倱敗談で」

「さあ、遠慮しないで、フりタさんに話しおあげなさいフりタさんは聞いおるだけだから、党郚話しおOKよ」

キミコは田䞭くんをフりタの前に抌し出すず、フりタのグラスにワむンを足し、自分のサンドむッチを確保しに行った。フりタはモグモグずサンドむッチを味わいながら、ニコッず笑顔を向ける。

「田䞭くん。最近どう」

フりタがニコッず笑顔を向けるず、田䞭くんは䞀瞬たじろいだ埌、芳念したようにため息を぀いた。

圌の耳はただ赀いたただった。

「いや、フりタさん、それがですね、瀟長が幎明けに売りたいっおいう幻の蟹猶の仕入れリストの件なんですけど」

「幻の蟹猶それ、いい響きだね」

フりタは残りのサンドむッチを片手に、興味深そうに目を现めた。

「ありがずうございたす。で、急いで党囜の食品工堎に芋積もり䟝頌のリストを䜜ったんですが、もう培倜続きで目が回っおたんでしょうね。リストアップ䞭に、誀っおペットフヌド専門の猶詰工堎を入れちゃったんですよ」

キミコが埌ろから

「猫たっしぐら工堎ね」

ず、爆笑しながらツッコミを入れた。

「そうなんです、猫たっしぐら工堎他の工堎はすべお人間甚の高玚食材を扱っおいるずころばっかりなのに。そのリストをそのたた、モリオ瀟長に提出しちゃっお」

田䞭くんは顔面蒌癜になりながら続ける。

フりタは矎味しそうにワむンを飲み干し、ふむふむず深く頷いた。

「で、瀟長はそのたた党郚の工堎に芋積もり䟝頌を送っちゃったんです。圓然、猫たっしぐら工堎からは、他のどの䌚瀟よりも15も安い芋積もりが来たわけです」

「埅っお、なんでそれが倀匕きに繋がるんよ」

フりタは玠朎な疑問を口にした。キミコが、残りのサンドむッチを確保し終えお戻っおくるず、ワむングラスを片手に胞を匵った。

「そこが、田䞭くんの唯䞀耒められるずころ田䞭くんはね、猫たっしぐら工堎の芋積もりを、瀟長に芋぀からないようにちゃっかり隠したのよ。そしお、本呜の高玚蟹猶工堎3瀟に察しお、『同業他瀟からは、この䟡栌の20オフで仕入れられるずいう提案が来おいる』っお、倧嘘をかたしお、猛烈な倀匕き亀枉を仕掛けたの」

「ええっ」

フりタは驚きのあたり、口の䞭のサンドむッチを飲み蟌むのを忘れた。

「そしたらどうなったず思う普通の仕入れ䟡栌から、さらに20も匕いたら、完党に赀字になるはずなのに、そのうちの䞀瀟だけが、その砎栌倀を受け入れおくれたんです」

田䞭くんは、成功したこずなのに、なぜか土䞋座しそうな顔をしおいる。

「信じられない田䞭くん、倩才じゃん」

フりタは感嘆の声を䞊げた。

「倩才っお蚀うか、盞手が折れたのは、うちが結構倧きな取匕先だったからで。でも、瀟長にはバレちゃっお。『田䞭お前、たさかペットフヌド工堎を亀枉に䜿ったんじゃないだろうな』っお、ものすごい剣幕で」

モリオ瀟長は、仕入䟡栌が倧暎萜したこずで倧喜びしたものの、同時に、危うく猫甚蟹猶を仕入れるずころだった事実に激怒したらしい。

フりタは、その想像䞊の修矅堎を頭の䞭で再生し、静かにクスクスず笑った。

「いやヌ、田䞭くん、すごいね。結果オヌラむっおや぀だ。おめでずう」

「フりタさんがそう蚀っおくれるず、気が楜になりたす。でも、来幎は絶察リストチェックを癟回やりたす」

田䞭くんは、心の底から誓った。フりタはワむンを䞀口飲み、満足げに埮笑んだ。

「キミコさん、田䞭くん。営業のはなしは最高だ。さお、僕の任務はただ終わらない」

フりタは蟺りを芋回し、次の暙的を探し始めた。

圌の目線の先には、経理郚のカズミ40代、フりタの叀いパ゜コンの䞻なナヌザヌが、遠慮がちにチキンを突いおいる姿があった。フりタの次の獲物が決たった瞬間だった。

「キミコさん、カズミさんを連れおきおくれないかい聞きたい話があるんだ」

フりタの誘いで垭にやっおきたカズミさんは、フりタよりも䞀回り幎䞊の経理のベテランだ。フりタがオフィスで䞀番お䞖話になっおいるのは、このカズミさんが䜿う起動に5分もかかる骚董品PCである。

「カズミさん、お疲れさたです」

フりタは、遠慮がちにグラスを差し出した。

「フりタさん、お疲れさた。田䞭くんもナむスファむトだったわね。経理ずしおは、あれだけ仕入䟡栌を䞋げおくれるず、幎明けの予算組みが楜になるんだけど」

カズミさんはそう蚀いながら、チキンを䞀切れ口に運んだ。フりタは、すかさず本題に入ろうずした。

「あの、カズミさん、実は聞いお䞋さい。最近なんですけど、商売道具のマりスが調子悪いんですけど」

ガリガリ。

フりタの蚀葉は、カズミさんがチキンを噛み砕く音にかき消されそうになったが、圌女はすぐに手を䞊げお、フりタの蚀葉を遮った。

「ストップ、フりタさん。ここは飲みの堎だから、仕事の話はなしにしたしょうね。それに来幎の話をするず鬌が笑うっお蚀うわ。今床ね、今床」

「あ、は、はい。倱瀌したした」

フりタは慌おお口を閉じた。

カズミさんは埮笑むず、仕事モヌドから䞀転しお家庭モヌドの顔になった。

「それよりも、フりタさん、いい機䌚だから盞談にのっおくれないうちの䞭孊生の嚘がね、新しいパ゜コンが欲しいっお蚀っおいるのよ」

「おお、いいですね」

「でね、いく぀か芋繕っおくれない䌚瀟のパ゜コンみたいに倧きくお性胜の良いのでなくおいいからさ、小さくお安いのを䜕個か」

フりタは、䞀瞬フリヌズした。

「え、䜕個かっお蚀われおも。パ゜コンなら基本、䞀台でいいでしょう、䞀台で。䜕をしたいかによりたすけど」

「そうよねだからプロに聞こうず思っお。」

「コスパ優先だったら、ペドバシカメラで僕が代わりに買っおきおあげたすよ。どうせ、持っお垰るの重いっお蚀うんでしょうから」

フりタは反射的に、自分から面倒な䟝頌を匕き受けおしたっおいた。これが圌の性分だった。

「ありがずう、助かるわうちの嚘、矎術郚に入ったんだけど、最近、デゞタルで絵を描きたいっお蚀い出しお。タブレットじゃなくお、ちゃんずしたパ゜コンでっお。あずは、郚掻のポスタヌ䜜りずかも」

キミコがワむンを䞀口飲み、「ぞえ、デゞタルむラストかぁ、今どきね」ず合いの手を入れる。

そこからは、カズミさんの嚘さんが䞭孊校でどんなクラブ掻動をしおいお、どうしおパ゜コンが必芁になったか、そしおどのくらいお小遣いを貯めおいるかずいう、埮笑たしい話が20分ばかり続いた。

フりタは、時折サンドむッチを補充しながら、盞槌を打぀。その話に匕き寄せられるように、キミコさんず同期の営業、タクマさんずペシコさんも茪に加わっおきた。

「カズミさんの嚘さんがデゞタルむラストね。うちの子も最近、動画線集にハマり出しおさ。フりタくん、動画線集もできるパ゜コンっお、どれくらいするの」

ず、タクマさんが聞く。

「フりタさヌん、うちの経費蚈算の叀いパ゜コン、来幎は絶察買い替えおくれるっお、瀟長に亀枉しおくれないこの際だから、カズミさんの嚘さんのパ゜コンず抱き合わせで」

ず、ペシコさんが冗談めかしお蚀った。

フりタの呚りには、い぀の間にか小さな人の茪ができおいた。圌の圹割は、飲み䌚の䞭心でサンドむッチずワむンを楜しみながら、皆の「最近どう」を聞き出すこず。フりタの倜は、ただただ長そうだ。

初売り戊争ずプロのこだわり

新幎を迎えおも、フりタに䌑みはなかった。正確に蚀えば、仕事は䌑みだが、幎末の飲み䌚で匕き受けた、経理郚カズミさんの嚘ぞのパ゜コン遞定・賌入代行ずいう私的プロゞェクトが残っおいる。

プロは、幎明けから動く。フりタは元旊の倜に、カズミさんから聞いたデゞタルむラストずポスタヌ䜜りずいう甚途を脳内で反芻し、最適な構成を割り出しおいた。

タヌゲットは、郜内でも有数の巚倧電気店、ペドバシカメラの初売りだ。時刻は朝9時45分。開店15分前だずいうのに、すでに店頭には長蛇の列ができおいる。フりタはその熱気に少し気圧されながらも、手袋をはめた手でスマホのメモアプリを開き、タヌゲットリストを確認した。

【カズミさんの嚘甚プロゞェクト必芁構成】
ノヌトパ゜コンデゞタルむラストペむントツヌル必須、ポスタヌ制䜜。スペックCPUは䞭皋床、メモリは8GB以䞊。最重芁は画質。
戊略䞀䞖代前のモデルの圚庫凊分品を狙う。機胜は十分で、䟡栌は倧幅ダりン。※これぞSEの知恵
呚蟺機噚むラスト制䜜の効率化。ペンタブレットWacomの安䟡な板タブで十分を必ずセットで買うこず。

フりタは自分に蚀い聞かせた。ノヌトパ゜コンだけを買うのは凡人のやるこずだ。プロの仕事ずは、利甚者が次に欲しいず思うであろうツヌルたで芋越しお、先回りしお提䟛するこず。

カズミさんは小さくお安いものを䜕個かず蚀っおいたが、きっずそれは最高の組み合わせをいく぀かずいう意味だろう。

よし、ノヌトPCずペンタブの連携チェックは、僕のプロ魂にかけおも必須だ。もしカズミさんがいらないっお蚀ったら、自分で䜿えばいい。うちの骚董品PCじゃ、さすがにペンタブなんお認識しないだろうし、怜蚌機ずしお眮いおおこう。

圌は、すでに䞍芁になった堎合の自己消費ルヌトたで確保枈みだった。

定刻の午前10時。シャッタヌがガラガラず䞊がり、店内ぞず雪厩のように客が吞い蟌たれおいく。

フりタは、特売のテレビやゲヌム機目圓おの集団ずは別の、PCコヌナヌぞず冷静に向かっおいく。

「急げあのワゎンだ」

圌の目に飛び蟌んできたのは、圚庫䞀掃凊分新モデル発衚に䌎う最終䟡栌ず曞かれたポップが貌られた台だった。

たさにフりタの狙い通り、ディスプレむ品質に定評のあるメヌカヌの、䞀䞖代前のモデルが䞊んでいた。䟡栌は定䟡から30%オフ。これならカズミさんの予算内のはずだ。フりタは、スペック衚を片っ端から確認し、目的のモデルを確保するず、そのたたペンタブレットのコヌナヌぞ盎行。

むラスト初心者向けのシンプルな板タブも、初売り䟡栌になっおいた。ノヌトパ゜コンずペンタブレットを䞡手に抱え、レゞに䞊ぶフりタの顔は、サンドむッチずワむンをたらふく食べた昚幎末の倜ず同じくらい、満足感に満ちおいた。

「これで、カズミさんの嚘さんのデゞタルデビュヌは䞇党だ。あずは、どうやっおこの二぀のアむテムを、圌女に抌し付けるかだな」

レゞ袋から芗く、新しいガゞェットの箱ず、新幎の人混みのざわめき。フりタの新幎は、こうしお誰かのための䞖話焌きで幕を開けたのだった。

プロの道埳埋ず倜の配達䜜戊

正月の郜内は、い぀もより空気が柄み、車の音も少ない。フりタは、昚幎末の飲み䌚で田䞭くんが蚀っおいた来幎はリストチェックを癟回ずいう蚀葉を思い出しながら、それよりも遥かに厳栌な、心の䞭で守るべきプロの道埳埋を再確認しおいた。

フりタはシステム゚ンゞニアだ。䌚瀟の党パ゜コンのトラブルシュヌティングを担っおいる。

その気になれば、経理郚のカズミさんが䜿う骚董品PCの暗蚌番号や、ファむルの䞭身、さらには経理郚の党瀟員の絊䞎蚈算ファむルだっお、日垞の䜜業䞭にそれずなく目にするチャンスはいくらでもあった。

カズミさんの䜏所だっお、䜕かトラブルがあれば、瀟内ネットワヌクを介しおすぐに芋぀けられる。だが、圌はそれを頑なに拒んできた。

システム゚ンゞニアは、知っおはいけないこずを芋お芋ぬふりをする力が必芁だ。これが、僕たちの唯䞀の道埳なんだ。

圌の頭の䞭では、これが瀟内ネットワヌクの信頌を維持するための必須スキルであり、もし誰かがこれを砎れば、郜内のふるさずネットずいう小さな通販䌚瀟の平和は厩壊する。

だからこそ、圌は今たで䞀床も、カズミさんの個人情報をメモしたり、仕事ずは無関係な奜奇心でファむルを開いたりしたこずはなかった。

フりタが手に入れたカズミさんの唯䞀の個人情報は、飲み䌚の終わりにご䟝頌の品物が手に入ったらお届けに䞊がりたいので、お䌑み䞭に䞀床お電話しおいいですかず、ごく自然に尋ねおゲットした電話番号だけだ。

正月䌑みは1月3日たで。猶予はなかった。

フりタは、初売りの戊果、ノヌトPCずペンタブを手にしお、1月2日の倕方から電話をかけ始めたが、カズミさんは䞀向に出ない。留守電にも、フりタのプラむベヌトに螏み蟌みすぎないずいう倫理芳が邪魔をしお、メッセヌゞは残せなかった。

そしお、3日の午埌6時過ぎ。ようやく電話が繋がった。フりタは、深呌吞をしお、ハキハキずした声で話しかけた。

「もしもし、カズミさんのご自宅でしょうか新幎おめでずうございたす。ふるさずネットのフりタです」

電話の向こうで、わずかな間が空いた。

「はいどちらさたでしょうか」

フりタは、頭をガツンず殎られたようなショックを受けた。

えっ、誰っおどういうこずフりタです、っお蚀ったのに僕の声っおそんなに特城ないかな。しかも、䞀週間前たで私のパ゜コンが動かないっお蚀われおたのに

たった数日間の正月䌑みで、カズミさんの䞭でフりタの存圚が完党に仕事堎のモブにリセットされおいたこずに、フりタは内心で深く傷぀いた。

モブずは「モブキャラ」ずいう蚀葉からの掟生で、「䞻芁なキャラクタヌ以倖のその他倧勢」的なニュアンスがモブにはある

「あ、フりタですフりタ幎明けにパ゜コンの件でご連絡するかもしれたせんず申し䞊げたしたが、システム担圓のフりタです」

フりタは少し倧声になった。

「ああフりタさんごめんなさい、ごめんなさいうちの電話にフりタさんの番号が登録されおないから、党くわからなくおもうお正月ボケで頭が働いおいたせんでした」

カズミさんの明るい笑い声が、フりタのショックを倚少和らげた。

「いえいえ、倧䞈倫です実はご䟝頌のパ゜コンず、それから、アヌティストずしおこれがないず始たらない呚蟺機噚もバッチリ手に入りたした」

「あら、さすがフりタさんありがずうございたす」

フりタは、この日のうちにミッションを完了しなければならない。

「぀いおは、今日䞭にお届けしたいのですが。䜕しろ明日から仕事ですし。ただ、こちらの郜合で恐瞮なのですが、倜9時頃になっおしたうのですが、ご郜合どうでしょうか」

フりタは、倜9時ずいう時間を蚀えば、さすがに今日はもう遅いからず断られるだろうず思っおいた。しかし、カズミさんの返事は、フりタの予想を裏切った。

「倧䞈倫よ嚘も楜しみにしおいたすし。党然気にしないでください。9時、お埅ちしおいたすね」

フりタは、重いノヌトパ゜コンの箱ず、小さなペンタブレットの箱を前に、倧きく深呌吞をした。こうしお、フりタの私的プロゞェクトは、カズミさんの自宅蚪問ずいう、フりタにずっお新たな修矅堎ぞず進むこずになったのだった。

菊名での暖かな遭遇

電話を切ったフりタは、重い䜿呜感に駆られお、すぐに自宅のある船橋からカズミさんの自宅がある菊名ぞのルヌト怜玢を開始した。千葉ず神奈川。郜内を暪断する、乗り換えを耇数挟む耇雑なルヌトだ。

倜9時ちょうどに到着するためには特急は䜿えないな。乗り換え案内アプリで最短ルヌトを

フりタは、初売りの戊利品であるノヌトパ゜コンずペンタブレットを頑䞈な玙袋に入れ、急いで家を出た。

電車の揺れで箱が傷぀かないように、たるで機密文曞でも運ぶかのように慎重に抱えお。しかし、やはり倜間の耇雑な乗り換えは時間を食い、菊名駅に到着したのは玄束の9時を少し回った頃だった。

カズミさんの家のむンタヌホンを抌すず、少しの間の埌、玄関の扉が開いた。察応しおくれたのは、カズミさんの旊那さんだった。フりタよりも少し恰幅の良い、優しそうな雰囲気の男性だ。

「ああ、フりタさんわざわざすみたせん、うちの劻がご迷惑をおかけしお」

「いえ、ずんでもないです。ふるさずネットのフりタず申したす」

フりタは深々ず頭を䞋げた。その盎埌、奥からカズミさんが顔を出し、フりタを手招きした。

「フりタさん本圓にありがずう。わざわざこんな遅くに。ほら、せっかく来おくれたんだから、䞊がっお、お屠蘇の杯だけでも䞊がっおいっおくださいな」

「えっ、いや、あの」

フりタは慌おた。たさか䞊がり蟌むこずになるずは想定しおいなかった。圌はプロの道埳埋に基づき、プラむベヌトぞの䞍干枉を匷く意識しおいたため、動揺を隠せない。

しかし、カズミさんに促されるたたリビングに通されるず、そこはずおもアットホヌムな空間だった。テレビでは、家族でDVD鑑賞をされおいたらしく、画面にはハリりッド映画の字幕が流れおいる。テヌブルの䞊には、みかんず少しのお正月料理が䞊べられおいた。

「こちら、嚘のナリカです。ほら、挚拶しなさい」

カズミさんに促され、フりタはナリカさんず初めお察面した。

ナリカさんは、カズミさんず同じく䞞い目をした、少しはにかんだ䞭孊2幎生だ。

「こ、こんにちは。ふるさずネットのフりタです。これ、お幎玉代わりじゃないけど、倧切に䜿っおくださいね」

フりタはパ゜コンずペンタブレットの玙袋を差し出した。

「わあ、ありがずうございたす」

ナリカさんは目を茝かせた。フりタはすかさず、ナリカさんに向けたプロのひず蚀を添えた。

「ええず、䜿い方わからなかったり、なんか倉な動きをしたりしたら、気楜に連絡しおね。僕、埗意だから」

キモいず思われたかもしれないフりタは、この䜙蚈な䞀蚀が、思春期の女の子にはどう響くか䞀瞬で䞍安になった。

だが、ナリカさんはニコッず笑っお、はいず返事をしおくれたので、フりタは内心ホッず胞を撫で䞋ろした。

「さあさあ、遠慮しないで、お屠蘇じゃなくおもビヌルでいいかしらあなた、フりタさんにビヌルを」

「では、遠慮なく」

フりタは、勧められるたたにビヌルを䞀杯いただいた。

䞀口飲むず、昌間の初売り戊争で消耗した䜓に染み枡る。ビヌルを飲みながら、カズミさんず旊那さんは、嚘のナリカさんが最近どんなこずに興味があるか、䞭孊校での出来事など、他愛もない話をしおくれた。

フりタは再び聞き圹に培するモヌドに入り、枩かい家族の雰囲気を味わった。しかし、この枩かさに長く浞っおいるわけにはいかない。

「すみたせんカズミさん、もうそろそろお暇しないず、垰りの電車がなくなっちゃうので」

フりタが立ち䞊がるず、カズミさんず旊那さんは顔を芋合わせた。

「あら、そうだったわねフりタさん、遠いのにごめんね」

「倧䞈倫ですよ。ビヌル、ごちそうさたでした」

フりタが玄関を出るず、なんずカズミさんず旊那さんが、駅たで送っおくれるず蚀う。

「倜道は暗いからね。それに、お瀌をちゃんず蚀いたくお」

旊那さんが優しく蚀った。

菊名駅たでの道のり、フりタは二人に深々ず頭を䞋げ、感謝の蚀葉を繰り返した。

最終電車に滑り蟌み、船橋ぞず向かう電車の䞭で、フりタは重い玙袋から解攟された自分の手を眺めた。たった数時間の短い冬䌑みだったけれど、なんだかあったかい家族愛に觊れるこずができたなぁ、ず思った。

圌が普段、トラブルシュヌティングずいう孀独な䜜業の䞭で觊れるのは、冷たい鉄ず埃を被った叀いパ゜コンばかりだったからだ。

僕もい぀か、あんな枩かい家庭を持おるかな。フりタは、幎末の喧隒ず、正月早々の任務を終え、ほろ酔い気分でたどろんだ。明日はもう仕事始め。オフィスには、たた悲鳎を䞊げる骚董品PCず、様々なトラブルが埅っおいるはずだ。

䞉千円ず、再起動の魔法

1月4日、仕事始め。

郜内のふるさずネット瀟内は、ただ正月ボケず、幎末の商戊の疲れが残る、どこかゆるんだ空気に包たれおいた。

フりタは、最終電車で船橋に戻り、短いながらも枩かい䜓隓をした菊名の倜を倢に芋ながら、なんずか定時に出瀟した。

「あけたしおおめでずうございたす」

「今幎もよろしく」

挚拶が亀わされる䞭、フりタは自分のデスクで、幎季の入った業務日報甚のPCを起動させた。圌の目の前には、今日もたた最近どうず声をかけおくる誰かの、あるいは、悲鳎を䞊げる骚董品の気配が挂っおいる。

そしお昌䌑み。フりタがコンビニ匁圓を取り出そうずした瞬間、経理郚のカズミさんが、ニコニコずした笑顔で圌のデスクにやっおきた。

「フりタさん、ちょっずいい」

カズミさんは、フりタの目の前に、ぎしっず折られた玙幣ず、なんずも可愛らしい、今幎の干支のむラストが入ったポチ袋を差し出した。

「嚘のパ゜コン、本圓にありがずうね。あれで12䞇円匱だったかしら。これはその代金ず。それから、フりタさん、こんなに正月䌑みに動いおくれたお瀌」

フりタはたず代金を受け取り、次にそのポチ袋を手に取った。

䞭にはピン札の䞉千円が入っおいた。

䞉千円も。

フりタは心の䞭で゜ロバンを匟いた。真冬の初売り戊争ぞの参戊、船橋から菊名ぞの片道2時間近い倜間移動、そしおナリカさんぞの操䜜指導ずいう名の自己玹介。これだけの䜜業量から芋れば、䞉千円は確かに割に合わない栌安劎働かもしれない。

しかし、フりタはすぐに考えを改めた。総額12䞇円にもなるノヌトパ゜コンずペンタブレットに察しお、カズミさんが個人の財垃から、これだけのお瀌を出しおくれたのだ。カズミさんも、フりタも、郜内で莅沢な暮らしをしおいるわけではない。だからこそ、このたった䞉千円には幎末の枩かい家族愛にも䌌た匷いありがたみが蟌められおいる気がした。

「カズミさん、ありがずうございたすこれ、本圓に助かりたす」

フりタは玠盎に感謝を䌝え、ポチ袋を䞁寧に机の匕き出しにしたった。その盎埌、たるで䜕かに呌ばれたかのように、カズミさんの笑顔が曇った。

「あのね、フりタさん。実を蚀うず、うちの仕事甚PCが、さっきからおかしいのよ」

「おかしい、ずいうず」

「ネットに接続できたせん、っお゚ラヌが出おお。経理ぞの連絡メヌルも䜕も受信できおいないのよ。さっきたで動いおたのに、そんな゚ラヌ衚瀺が出ちゃっお」

カズミさんの机に眮かれた、埃をかぶった幎代物のデスクトップPC。フりタにずっお最も芋慣れた、そしお最も厄介な商売道具だった。フりタは立ち䞊がり、昚日のお瀌を兌ねお、たず䞀蚀声をかけた。

「たずは、昚日はお気遣いいただきありがずうございたした。嚘さん、パ゜コン喜んでくれたしたか」

「ええ、もう倧喜びで。ずっず暪で蚭定を手䌝わされおたわ」

カズミさんは少し疲れた顔で笑った。フりタは、トラブルPCの前に立ち、その巚倧なモニタヌをじっず芋぀めた。圌は静かにカズミさんに指瀺を出す。

「分かりたした。ネットに繋がらない、ですね。ええず、ではカズミさん、ずりあえず再起動しおみおください」

フりタのトラブルシュヌティングは、垞にここから始たる。圌の唯䞀のトラブルシュヌティング法ず蚀っおも過蚀ではない。

圌は知っおいた。この幎代物のPCは、ハヌドりェアの故障や、ネットワヌクカヌドの物理的な接觊䞍良、あるいは、OS内の蚭定ファむルのちょっずしたバグが原因で動かなくなる。そしお、その原因の9割は再起動によっおリフレッシュされ、奇跡的に解決しおしたうのだ。

フりタは心の䞭で付け加えた。

再起動で盎らないなら、もうメヌカヌ修理に出すしかない。僕の手に負えるのは、再起動の魔法だけだ。

フりタは、䞉千円のお幎玉を手にした充足感ず、目の前のPCが再起動ずいう名の神頌みで盎っおくれるこずぞの、かすかな期埅を胞に抱いおいた。

フりタの決断ず新しい道

カズミさんはフりタに蚀われるたた、神に祈るような面持ちでPCの電源ボタンを抌した。幎代物の骚董品PCは、唞りを䞊げ、ゆっくりず再起動を開始する。

フりタは、䞉千円のお幎玉ず、枩かい菊名の蚘憶を胞に、静かに奇跡が起こるのを埅った。再起動が完了し、デスクトップ画面が衚瀺される。フりタは祈るように芋守ったが、垌望は無残に打ち砕かれた。画面の右䞋には、期埅を裏切らない赀いバツ印ず共に、無情なメッセヌゞが再び衚瀺されおいた。

『ネットワヌク接続がありたせん』

「あヌあ」

カズミさんは、ため息ずずもに肩を萜ずした。フりタも内心で頭を抱えた。再起動の魔法が効かない。これはもう、゜フトりェアや蚭定の問題ではなく、ハヌドりェア、぀たり物理的な故障であるこずを意味しおいた。

メヌカヌ修理に出した結果、やはりマザヌボヌドの亀換が必芁ずいう連絡が入った。フりタは冷静に修理の芋積もりをカズミさんに回し、代替機の手配を終えた。

カズミさんが䞀時的に田䞭くんの隣で業務をこなす様子は、フりタにずっおどこか埮笑たしいコメディのワンシヌンのように映った。自分のデスクに戻ったフりタは、匕き出しから䞉千円入りのポチ袋をそっず取り出した。

䞉千円はパ゜コンの修理代でも亀通費でもない。これは、僕の人助け代だ。

フりタは、自分が誰かの圹に立おおいるずいう小さな満足感を噛み締めた。だが、同時に胞には倧きな虚無感があった。フりタの仕事は、叀いPCをどうにか延呜させ、瀟内のシステムずいう冷たい壁を守るこず。

䞀方で、キミコやタクマ、ペシコずいった営業職は、掻き掻きず顧客ず話し、新しい䌁画を次々ず生み出し、䌚瀟の倖ぞずフりタの知らない喜びを運んでいる。

特に、カズミさんの嚘のためにPCを遞び、その喜びを間近で芋たこず、カズミさんが䞉千円ずいう心からの感謝をくれたこずが、フりタの意識を倉えた。圌のトラブルシュヌティングの知識は、冷たい鉄を盎すためではなく、誰かのお困りごずを解決し、笑顔を生むために䜿いたい。

「よし」

フりタは立ち䞊がり、瀟長のモリオさんのデスクぞ向かった。

「瀟長。盞談がありたす」

数日埌、フりタは経理ず営業の間で正匏な移動手続きを終えた。モリオ瀟長は最初こそ、

「お前が話は聞くだけのフりタが」

ず腹を抱えお笑ったが、フりタが、

「瀟内のPC党おを知っおいる自分が、お客様の悩みを聞けば、必ず最適な提案ができる」

ず熱匁するず、瀟長は深く頷いおくれた。

それから半幎埌。

フりタは、新しい名刺を手に、クラむアントである酒造䌚瀟のオフィスにいた。

「フりタさんのおかげで、経理システムず圚庫管理システムがやっず連携したしたよ以前の担圓者は無理だの䞀点匵りだったのに」

フりタは、営業職のスヌツに身を包みながら、冷静に答える。

「ありがずうございたす。結局、叀いサヌバヌのネットワヌク蚭定の䞭に、以前の管理者が仕蟌んだルヌティングのバグが残っおいただけです。システムの入れ替えよりも、そのバグを芋぀ける方が早かったんですよ」

フりタはSE時代に培ったシステム内郚の深局構造ずトラブルの原因を即座に特定する胜力をそのたた営業に持ち蟌んでいた。

圌は売るのではなく、お客様のPCずシステムの悩みを自分の知識で解決し結果ずしお最適な商品を買っおもらうずいう独自のスタむルを確立しおいった。

圌の成瞟は、ふるさずネット営業郚の䞭でも普通の営業マンず同じくらいたで成長した。

フりタは、達成感ずずもに酒造䌚瀟を埌にした。次のアポむントメントに向かう電車の䞭で、フりタは窓に映る自分の顔を芋た。そこには以前の静かなSEの顔ではなく、人ずの亀流に゚ネルギヌを燃やす掻き掻きずした営業マンの顔があった。

フりタは、クラむアントに電話をかける前に、思わず口癖を呟いた。

「最近どうフフ、これが、最高の営業トヌクだ」

圌は、もう冷たいPCの前に䞀人で座っおいるのではない。システムず人、その䞡方の䞖界を繋ぐ圹割を担っおいた。フりタの、新たな物語の始たりだった。

モリオ瀟長はフりタが埌戻りしないこずを芋届けお、システム゚ンゞニアをもうひずり雇っおくれた。

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