
仙台駅から歩いて8分。都会の喧騒がふっと消え、落ち着いた住宅街が広がる一角に、ミクのお店サンタ第2工房はある。当時46歳。趣味は読書(静かな場所限定)。いつか、木のおもちゃ博物館を作りたいという大きな夢を持っていた。そのミクの人生が木の香りと、心優しい助っ人たちに包まれ始めたのは、以前勤めていた夫の実家の材木店がきっかけだった。
こちらの物語の続きになります。
決意
ミクは、夫のノリオが経営する材木店で経理をしていた。
実権を握っていたのは、当時の社長で義父のツヨシ。絵に描いたような昭和の男で、店は一般客お断りと言わんばかりの無骨な雰囲気。
「ミクさん。 帳簿の数字より、この杉の良さ、わかってもらえますか」
「お義父さん、木でお腹は膨らみませんよ」
そんなやり取りが日常茶飯事。ミクの夫ノリオはといえば、ミクと義父の間で、まあまあ二人とも、と、長いものに巻かれながらオロオロするばかり。
木のガラガラ
そんなある日、仕入れ先だった熟練職人の丸川さんが、ひょいとミクに一つのおもちゃを差し出した。それは木のガラガラだった。
「子どもが生まれたんだろ。これ、持っていけ」
無愛想な丸川さんが作ったそのガラガラは、驚くほど滑らかで、振るとコトコトと、まるで心臓の鼓動のような優しい音がした。
このガラガラは、長女、次女、そして末っ子へと受け継がれ、我が家の子育ての真ん中にいつもあった。
「こんなに素敵なものが作れる職人さんを作って終わるだけの世界に閉じ込めておくのはもったいない」
ミクは、殺風景な材木店の入り口に、丸川さんのおもちゃを並べ始めた。
「おや?おもちゃか。新しいね。」と振り返る義父ツヨシ。「あら、これはディスプレイですよ、お・しゃ・れ・な」と、当時はやった語彙力で煙に巻き、ミクはザ・木材店をフレンドリーな木のおもちゃ屋さんに変えていった。
独立
そして、2012年丸川さんが引退することになった。
「丸川のおじさまの作ったおもちゃの灯を消したくない!」
その一心で、ミクは独立を決意した。店名は、子どもたちに夢を届けるサンタさんの第2の場所という意味で、サンタ第2工房と名付けた。
その4年後には法人化した。ミクの夫ノリオも義父のツヨシも黙って見守ってくれた。ミクの作るおもちゃはいつしかウッドデザイン賞を何度も受賞し、宮城県のふるさと納税返礼品にも選ばれるようになっていた。
ミクの工房を支えてくれているのは、腕はいいけれど口が悪い70代後半の職人、田中さんや吉田さんだ。彼らが時々「寸法間違えたかな?」というとき、それは相当派手な失敗だった。
例えば、積み木を入れる箱を作ったとき。積み木はきれいに並べて箱に納めるから、きっちり作りすぎると積み木が入らなかったり、取り出せなくなってしまう。積み木の周りに1mmの隙間を作らないといけない。図面にもクリアランス1mmと書いてあった。それを見落としてしまうと、100個作った積み木箱の枠すべてを廃棄することになってしまう。
そんな大失敗をしても、ミクは「大丈夫。これはこれで味がありますから」と全力でフォローした(※子育てで鍛えた処世術)。
それから、心優しい仕入れ先の会社の担当者戸田さんや、製造を助けてくれる配送業者の佐山さんたちと協力し、木の温もりを届ける活動を続けていた。
一方、ミクの義父ツヨシが一線を退いた後、材木店は優柔不断な夫ノリオのもとで絶賛傾き中だった。
「ミク、どうしよう、また銀行が」
と泣きついてくる夫を「仕事に遅れるから」と一蹴しつつ、ミクはその日も工房の扉を開けるのだった。
里山の女王
「佐山さん、その枝の切り方ひとつで、おもちゃになった時の顔が変わりそうですね!」
「ミクさん、わかった、わかったよ。 今はまずこの間伐材を運ぶのを先にさせてもらえる?」
その日もその日とて、ミクは宮城の里山にいた。興味深く2日間かけて読了した森林生態学の知識を武器に、現場でバリバリと指示(という名の口出し)を飛ばしていたのだ。
ミクの夫ノリオが経営する材木店はすでに銀行からの電話に怯える日々だったが、ミクのサンタ第2工房は別だった。仕入れを夫の木材店から信頼する戸田さんの会社に切り替えていた。そのうえで、そのころのミクは木を育てる現場、つまり木育の活動に全力を注いでいたのだった。
助っ人
里山イベントやワークショップで重い資材を運びテントを設営してくれていたのは、仕入れ先の戸田さんと、外注製造を支えてくれる配送業者の佐山さんだ。ミクは二人のことを助さん角さんと呼んでいた。
彼らが動いてくれるとき、ミクはいつもポチ袋を用意していた。
「これ、少ないけど交通費の足しにして」
金額は、交通費よりは多いけれど、最低賃金にはちょっと届かないという、なんとも絶妙でミク的な額だった。
ところが、戸田さんはいつも「いいよいいよ、ミクさんの頑張りを見てるだけで十分だから」と、頑として受け取らない。
「うーん、これじゃあ私の気が済まないわ」
経営者として、受けた恩は倍返しという言葉をどこかの漫画で読んだ記憶があるミクは、
「戸田さん、佐山さん。今度の金曜の夕方、空けておいてください。とっておきのお礼をしますから」
と伝えた。当日、作業着姿の二人がやってきたのは、仙台駅近くの格式高いフレンチレストランだった。
「ミクさん?ここ入っていいの? 泥ついてないかな」
怯える戸田さんを「大丈夫、私が予約したんだから」と強引にエスコート。
白磁のお皿に盛られた、宝石のような前菜。
「これは、何ですか? 苔?」
「戸田さん、それはエスカルゴのバターソースよ」
戸田さんと佐山さんの二人は、普段使っているノミやカンナよりもずっと細いフォークを手に、震える手でフレンチのフルコースに挑んでいた。
「ミクさん、正直言って、いつもの立ち食いそばの方が味がわかる気がするよ」
「いいの! 今日はお礼なんだから、この優雅な時間を味わって!」
ミクがワイングラスを傾けながら、里山の未来について熱く語っていると、戸田さんがポツリと言った。
「でもさ、ミクさん。俺たちが手伝うのは、金や飯のためじゃないんだよ。ミクさんが作るおもちゃが、子どもたちの手に渡る時のあの顔。あれが見たいだけなんだよなぁ」
その言葉に、少しだけ胸が熱くなった。
あ、でも、このフルコースの支払いを考えたら、やっぱり交通費のポチ袋を無理やり握らせておいた方が安上がりだったのかしら?なんて計算が頭をよぎるのは、元経理担当をしていたときの悲しい性からだった。
そして一方、その頃ミクの家では、夫ノリオが賞味期限切れ間近のカップ麺をすすりながら、義父ツヨシに小言を言われていた。
「ノリオ! ミクさんはどこへ行った! 年始の挨拶のことで相談があるんだ」
「父さん、ミクは今フランス料理を食べてるはずだよ。たぶん。」
ノリオの頼りない声が、寂しくリビングに響いていた。
AI
「ミクさん、無理だ。こんな細い曲線、木の性質を分かってねえ素人の考えだ」
サンタ第2工房の応接テーブルで70代後半の職人、田中さんが鼻を鳴らした。手にはミクが描いた新しい江戸駒のデザイン画。
「いいじゃないですか、田中さん。これが今、ママたちの間でエモいって言われてる形なんですよ」
「エモいだかイモいだか知らねえが、俺の腕じゃあ作れねえよ」
田中さんは腕は一流だがとにかく偏屈。もう一人の職人、吉田さんは「ほう、面白い形だねぇ」と感心してくれるものの、具体的な加工方法までは思いつかない様子。
「ふふふ。じゃあ、ちょっとまってて」
ミクはすっと席を立ち、棚の影に隠れた。取り出したのはスマートフォン。
「ねえAI、この江戸駒の複雑な曲線を田中さんの持ってる古い旋盤で削り出すにはどういう角度で刃を当てればいい? 図面は添付するわ。ちなみに木材はサクラなんだけど。」
画面には即座に回答が流れる。
サクラ材の粘りを考慮し、45度の角度から低速で。また、治具としてこの形状を補助的に使用することをお勧めします。設計図のデータを作成しましょうか?
「よし、これね!」
ミクはAIからの回答を自分の直感のように咀嚼(そしゃく)して、再び工房の応接テーブルへ戻る。
「田中さん、さっきの件だけど。治具をこういう風に当てて、低速で削ってみたらどうかしら? 角度は45度くらいで!」
「ああん? なんだそりゃ。そんなやり方、聞いたこともねえぞ。できねえもんはむりだかんな」
田中さんは「けっ、素人が考えそうなこった」とののしりながらも、職人の性(さが)か、言われた通りに手を動かし始める。治具が出来上がるとあの偏屈な職人の田中さんは言った。
「ん? お。おぉ? 削れるな、これ」
横で見ていた吉田さんが目を丸くする。
「すごいな、ミクさんは。まるで木と会話してきたみたいだな」
「まあね、読書で得た知識とちょっとした勘で申し訳ないですけど」
田中さんが完成させた、完璧な曲線を持つ木のおもちゃ。それを手に取り、ミクは心の中でAIのすごさと文句を言いながらでも形にしてくれる頑固な職人たちに感謝するのだった。
他にもAIという名のデジタル相棒に、販売ルートや材料の代替案まで相談しているミク。
「AI、このおもちゃはどのサイトで売ればいい?」
ターゲット層を考えると、Instagramでの発信と並行して、仙台市内のセレクトショップへの委託が最適です。具体的な店舗リストはこちら。
そんなハイテクな裏側を知る由もない夫のノリオは、その日も古い帳簿を抱えて自宅でミクを待ち構えていた。
「ミク、うちの会社の木材、在庫なんかこう、どこかで高く買ってもらえるような手立てはないかなぁ?」
「あなた、どんな魔法使ってもそれは無理よ。地道に商売して古いお客さんを大切にするだけだってお義父様もいってらしたわよ」
ミクはスマホを隠し、冷たく言い放つ。
「さあ、次はこれ、インスタにアップしてバズらせなきゃ!」
落日
義父ツヨシが引退を決め、ミクの夫ノリオに社長の椅子を譲ったとき、ノリオの肩は今にも折れそうに震えていた。それが、材木店の落日の始まりだったのかもしれない。
義父ツヨシは引退後、数年して静かにこの世を去った。
あんなに頑固で心優しく見守ってくれていた義父だったが、亡くなる直前、ミクが作ったふるさと納税返礼品の木製パズルを、病室のベッドでずっと撫でていたのをミクは知っている。
「ミクさん。ノリオは木より紙(札)束に振り回される男だ。あんたは、自分の木(事業)をしっかり見極めるんだよ」
それが、義父ツヨシがミクに残した最後の言葉だった。
義父の予言は、最悪の形で的中した。
社長になった夫ノリオの優柔不断と長いものに巻かれる性格につけ込み、長年信じていた社員が会社の資金を持ち逃げするという事件が起きた。
「どうしよう、ミク。もう、土地を売るしかない。」
青ざめるノリオ。ミクは元経理として、冷徹に状況を判断した。
「ええ、そうね。会社を縮小して、不動産を整理するしかないわ。それが唯一の道よ」
かつては大型トラックが何台も出入りしていた広い材木店の敷地は、あっという間に切り売りされ、住宅地へと姿を変えていった。
幸いだったのは、ミクが数年前にサンタ第2工房を別法人として独立させていたこと。
仕入れ先を戸田さんの会社に変え、夫ノリオの会社とは付き合い程度の距離を保っていたおかげでミクの工房に火の粉が飛んでくることはなかった。
しかし、近所のひとから心配そうな声をかけられることもあった。
「ミクさん、あっちの材木店はどこかへ引っ越すの? あなたのお店はどうなっちゃうの?」
「ああ、あちらはあちら。私はここで、変わらず木のおもちゃを作っていますから。安心してくださいね」
読書と毎日の新聞で培った客観的な視点が、ミクに感情と経営を切り離す強さをくれたのだった。
活気
材木店が小さくなっていく一方で、サンタ第2工房は活気に満ちていた。
「田中さん、また失敗したの。まあ、いいわ。大丈夫、私の勘(※という名のスマホのAIアプリ)だけど、その端材で素敵なキーホルダーが作れるわ。なんとかするから。」
「けっ、キーホルダーか。ミクさん、ごめんよ、材料無駄にしてしまって。一生かかって償いするから。今度は寸法通りに作るよ。」
ミクの夫の木材店が傾き、義父ツヨシがいなくなった寂しさはゼロではなかったけれど、ミクは自分の足で立っている実感があった。
窓の外、かつて材木が積み上げられていた更地を見つめながら、ミクは新しいデザインの構想を練っていた。
ピンチ
商売というものは、凪(なぎ)が続いたかと思えば、突然大波がやってくるから目が離せない。
ある日サンタ第2工房にこれまでにない規模の依頼が舞い込んだ。以前からお付き合いのある万年筆工房と、大手文房具メーカーがコラボして、高級木材を使った卓上カレンダー枠の大量注文が入ったのだ。
「田中さん、吉田さん! ついに来ましたよ、大仕事! これが完成したら、うちの工房の知名度は全国区です!」
「へっ、カレンダーか。まあ、板を削るだけなら造作もねえが」
いつものように毒づく田中さんと、ニコニコと頷く吉田さん。ところが、運命の神様はちょっとした悪戯を用意していた。
作業開始から数日。なんと今度は、温厚な吉田さんがインフルエンザで倒れてしまったのだ。
「ミクさん、すまないね。体が、動かなくて」
電話越しに弱々しく謝る吉田さんに、「いいのよ、 ゆっくり休んで」と伝えたが、電話を切った後のミクの手は少し震えていた。
納期まではあと一月。しかし、吉田さんの穴はあまりにも大きい。
「田中さん、一人でいける?」
「バカ言え。 俺の手が四本あればね。腕をもう二本生やしてもらったらできるかもしれねぇがよ」
さすがのAIも物理的な職人の手を増やすことはできない。そこでミクは、外注先の配送業者佐山さんに泣きつきいた。
「佐山さん、お願い。 忙しいのは百も承知だけど、吉田さんが戻るまで助けて!」
佐山さんは配達の仕事があるにもかかわらず、「ミクさんの頼みじゃあ、断れないな」と、夜遅くまで仕事場に詰めてくれた。さらにミクは、万年筆工房の方へも頭を下げ、納期の微調整をお願いして回った。
「大丈夫ですよ、なんとかなりますから!」
現場では明るく振る舞い、業者さんたちを励ますミク。動じない主人公を演じてはいたが、夜、ミクが一人で経理作業をしている時は心臓がバックバクだった。
「もし間に合わなかったら。 長いお付き合いの信頼を失ったら」
そんな不安を、ハーブティー(と、ちょっと甘めのチョコレート)で無理やり押し込み、翌朝にはまた女王ミクとして工房に立った。
醍醐味
そして、運命の納品日。
のこされた職人田中さんの完璧な面取り、配送業者佐山さんの迅速な仕上げ。そして病気から復帰し、フラフラになりながらも最後の一磨きを手伝ってくれた職人の吉田さん。
全員の力が結集し、ピカピカに磨き上げられたカレンダー枠が宅急便屋さんに持ち込まれた。
「終わったわね」
空っぽになった作業台を見つめ、ミクは深いため息をついた。
「ミクさん、顔がひきつってるぞ。やっぱり怖かったんだろ?」
面取りが終わって最後の納品に来た職人の田中さんがニヤニヤしながら冷やかしてきた。
「そりゃあもう。でも、私。最初から信じてたわよ、みんなの腕を」
ミクは強がってみせたものの、胸の奥からこみ上げてくるのは、言葉にできないほどの高揚感だった。
自分のアイデアが形になり、仲間の助けで危機を乗り越え、それが誰かの机に届く。
「あーあ、これだから。これだから商売はやめられないのよね!」
一方、その頃、縮小した材木店の事務所で、ミクの夫ノリオは「ミクのところは景気が良さそうでいいなぁ」と、自分の優柔不断さを噛み締めていたのだった。
宝石箱
仙台の街を包む新緑が美しい、ある春の日のこと。
ミクは、青葉山の麓に新しく建てられた木の香りが漂う建物の前に立っていた。
壁には、どこか懐かしいフォントでこう刻まれている。
「仙台・木のおもちゃメモリアル博物館」
かつて住宅街の真ん中で、数台の木製の車から始まったミクの夢は、30数年の時を経て、この街の宝物になっていた。
木のおもちゃ博物館を作るという、かつて、ホラ吹きだと思われていたミクの夢を支えてくれたのは、地道に繋ぎ続けてきた人の縁だった。
おもちゃのデザインと木育への貢献が評価され、東北大学の研究チームが木の温もりが子供の脳に与える影響の共同研究を申し出てくれたのが大きな転機だった。そこから仙台市、そして宮城県へとバックアップの輪が広がり、産官学が一体となった東北が誇る木の宝石箱が誕生したのだ。
展示室のメインコーナーには、ひときわ丁寧に磨き上げられた様々な木のパズルや、おもちゃが飾られていた。
「田中さん、吉田さん。見てる? あなたたち、頑固な職人のこだわりが、今、何千人もの子どもたちを笑顔にしてるわよ」
腕はいいが口の悪かった田中さんも、いつもニコニコしていた吉田さんも、もうこの世にはいない。配送を助けてくれた戸田さんや、窮地を救ってくれた佐山さんももう現役を退いた。
「ミクさん、あんたのやり方は甘いんだよ」
そんな田中さんの怒鳴り声が、ふと風に乗って聞こえた気がして、ミクは少しだけ目頭を熱くしながら微笑んだ。彼らがいなければ、ミクはここまで走ってこれなかったはずだ。
「館長、次の面会の方が到着されました」
スタッフに呼ばれて振り返ると、そこには杖をついた夫ノリオの姿があった。
実家の材木店を完全に畳み、ノリオには博物館の名誉庭師(兼、掃除係という名の雑用係)としてのんびり庭の木々を眺める毎日が用意されていた。
「ミク、今日も大盛況だね。父さんも、きっと喜んでるだろうよ。夢をかなえてもらえて。」
「そうね。お義父さまなら館内の掃除が甘いって怒鳴ってるかもね。」
博物館の工房コーナーでは、若い職人たちが考え抜いた木のおもちゃのデザインが展示してある。
かつて丸川さんから受け取った一つのガラガラ。
その小さな温もりが、今、大きな森のような場所になって、次世代のサンタたちを育てているのだ。
「さあ、今日も本を閉じて、現場に行かなくちゃ」
ミクは愛用の眼鏡をかけ直し、子どもたちの歓声が響く展示室へと足を踏み出した。
あの46歳の頃から始まったミクの第2の人生は、まだ瑞々しく、凛とした木の香りに包まれて続いている。

