沖縄・読谷村。海の青さがまだ眠そうに揺れている時間。60歳の仲村ミツエは、いつものようにビーチサンダルを鳴らしながら浜辺を歩いていた。「はぁ〜、今日も海がきれいさぁねぇ」ミツエは、朝の散歩が大好きだった。特別な理由はない。ただ気持ちいいから。それだけで十分だった。
60歳

そこへ、近所の金城タケシ(62歳)が走ってきた。
「ミツエさーん!今日も散歩かい?」
「タケシさんこそ、朝から走って偉いねぇ」
「いやいや、走ってるんじゃなくて、昨日の飲み代を払わずに逃げた猫を追いかけてるだけよ」
「猫にツケさせるなぁ!」二人は笑った。ミツエは、若い頃は真面目すぎるくらい真面目だった。
- 仕事は休まない
- 家事は完璧
- 子どもたちの学校行事は全部参加
- 近所の役員も全部引き受ける
「ちゃんとしなきゃ」が口癖だった。でも60歳を過ぎたある日、ふと気づいた。(あれ?私、ちゃんとしすぎて疲れてたんじゃない?)そこからミツエは変わった。面白そうを優先するようになった。
- 初めての店に入る
- 知らない人と話す
- SNSで写真を上げてみる
- 三線を習い始める
- 海で拾った貝殻でアクセサリーを作る
「なんか楽しそう」
それだけで動くようになった。タケシは昔、競争心が強かった。
- 同期より出世したい
- 友達よりいい車に乗りたい
- 息子の成績を気にする
でも、定年を迎えたとき、ふと肩の力が抜けた。(上を見たらキリがないさぁ。昨日の自分より、ちょっと笑えたら十分だろ)それ以来、タケシはいつも機嫌がいい。ミツエはそんなタケシを見て思う。(この人、人生の達人だわねぇ)
ある日、ミツエは三線教室でちょっとした失敗をした。
先生「ミツエさん、そこドじゃなくてファね」
ミツエ「えっ、私ずっとドで弾いてたよ?」
先生「だから曲が島唄じゃなくて島騒ぎになってるわけよ」
教室中が爆笑した。ミツエは顔を真っ赤にしながらも笑った。
「まぁ、ネタが増えたと思えばいいさぁね!」
タケシは言った。
「ミツエさん、失敗を笑える人は強いよ」
ミツエは照れながら言った。
「タケシさん、あんたもよく失敗してるさぁ」
「俺は失敗しかしてないよ!」
二人はまた笑った。ある日、ミツエはふと思った。(私、60歳過ぎてからの方が、人生が面白くなってる気がするさぁ)そして、海を見ながらつぶやいた。
「よし。次は何をやろうかなぁ」
その瞬間、タケシがアイスを持って走ってきた。
「ミツエさん!SUP(サップ)やらん?立って漕ぐやつ!」
「えっ、あれ若い人がやるやつじゃないの?」
「年齢は関係ないさぁ!落ちたら落ちたで笑えばいい!」
ミツエは少し考えて、
「面白そうね。やる!」
タケシは満面の笑みを浮かべた。
「よっしゃー!60代SUP部、結成だ!」
ミツエは笑いながら思った。(人生は我慢大会じゃない。楽しんだ人が勝ちなんだわねぇ)沖縄の海風が、二人の背中を優しく押していた。
SUPデビュー

ミツエ(60)は、タケシ(62)に連れられて残波岬のビーチに来ていた。海はキラキラ。風はゆるゆる。観光客はキャッキャしている。ミツエはSUPボードを見てつぶやいた。
「タケシさん。これ、本当に私が乗るの?」
「乗るさぁ!60代SUP部の初活動よ!」
「部員2人しかいないけどね」
「大丈夫。今日増えるはずよ」
ミツエは眉をひそめた。
「なんで?」
タケシは胸を張った。
「俺、昨日SNSで60代SUP部、部員募集って投稿したから」
「勝手に!?」
インストラクターの青年・カイ(25)が説明を始めた。
「まずはボードに座って、ゆっくり立ち上がってくださいね〜」
ミツエは慎重にボードに乗った。(落ちたら恥ずかしいさぁ)タケシは余裕の顔で乗っている。
「ミツエさん、怖がらんでいいよ〜。海は友達よ〜」
「タケシさん、あんた昨日も海に落ちてたでしょ」
「落ちるのも友達よ〜」
ミツエは深呼吸して、そっと立ち上がった。ぐらっ。
「ひゃっ!」
カイ「大丈夫ですよ〜、ゆっくり〜」
タケシ「ミツエさん、がんばれ〜!」
ミツエ「タケシさん、揺らすなぁ!」
タケシ「揺らしてないよ!」
その瞬間、ドボンッ!ミツエ、海に落下。
タケシ「ミツエさーーーん!」
カイ「ナイスダイブです〜!」
ミツエは海面に浮かびながら叫んだ。
「ナイスじゃないさぁ!!」
でも、なぜか笑っていた。
(落ちてもなんか楽しいさぁね)
SUPを終えて休憩していると、見知らぬ若者が近づいてきた。
「すみません。あなたたち、60代SUP部の方ですか?」
タケシ「おお!募集、見た?」
若者「はい!僕、ハルキ(28)って言います。最近仕事辞めてなんか新しいことしたくて、60代の人が楽しそうにしてるの見て、あ、これだって思って」
ミツエ「なんで若者が60代SUP部に入るの?」
ハルキ「60代の人の方が人生楽しんでる気がして。僕もそうなりたいんです」
タケシは胸を張った。「よし、今日からお前は若手部員だ!」
ミツエ「部員3人になったねぇ」
ハルキ「よろしくお願いします!」
ミツエは思った。
(若い人が来るなんて人生って面白いさぁね)
その日の夕方。ミツエが家で三線を弾いていると、玄関がガチャッと開いた。「お母さーん!」
ミツエ「アヤ!?なんで帰ってきたの?」
アヤ(35)は東京で働く娘。いつも忙しくて、なかなか帰ってこない。アヤは心配そうに言った。
「お母さん、SNS見たよ。60代SUP部、海に落ちた!って。大丈夫なの!?」
ミツエ「大丈夫よ〜。落ちても楽しかったさぁ」
アヤ「楽しかった!?」
ミツエは笑った。「アヤ、私ね、60歳過ぎてからの方が、人生が面白いんよ」
アヤはぽかんとした。
「お母さん、なんか若返ってない?」
ミツエ「若さは年齢じゃないさぁ。面白そうの数よ」
アヤは少し涙ぐんだ。
「なんか安心した」
ミツエはアヤの頭を撫でた。「アヤも、もっと遊びなさいよ〜。人生は我慢大会じゃないさぁ」
アヤは笑った。「お母さん、かっこいいね」
夜。ミツエは海風に吹かれながら、今日のことを思い返していた。
- SUPで海に落ちた
- 若者が弟子入りしてきた
- 娘が心配して帰ってきた
- タケシは相変わらず機嫌がいい
(なんか人生が動いてる気がするさぁ)
ミツエはふとつぶやいた。
「私、もっといろんな人と繋がりたいさぁね」
その瞬間、アヤが言った。
「お母さん、60代SUP部のYouTubeチャンネル作ったら?」
ミツエ「えっ、YouTube!?」
タケシ(電話越し)「いいねぇ!やろうやろう!」
ハルキ(電話越し)「編集できます!」
ミツエ「ちょ、ちょっと待って!」
でも、胸がちむどんどんしていた。(面白そう)ミツエは笑った。「よし。やってみるかねぇ」沖縄の夜風が、新しい挑戦の背中をそっと押していた。
YouTubeデビュー

ミツエ(60)は、アヤ(35)と一緒に朝ごはんを食べていた。
- ポーク卵
- 島豆腐
- ゴーヤのおひたし
- さんぴん茶
アヤは言った。「お母さん、本当にYouTubeやるの?」
ミツエ「やるよ〜。タケシさんもハルキも乗り気だしね」
アヤ「60代SUP部がYouTubeって、なんか時代が追いついてない気がする」
ミツエ「時代は追いかけるもんじゃないさぁ。乗っかるもんよ」
アヤは笑った。
(お母さん、ほんと変わったなぁ)
午後。残波岬のビーチに、60代SUP部の3人が集合した。タケシ(62)はやる気満々。
「よし、今日から俺たちはYouTuberだ!」
ハルキ(28)はカメラを構えながら言った。
「ミツエさん、まずは自己紹介からいきましょう」
ミツエ「えーっと。はいさい!ミツエです。60歳からSUP始めました〜」
タケシ「いいねぇ!俺もやる!」
タケシはSUPボードに乗り、カメラに向かって叫んだ。「はいさい!タケシです!62歳でも海は友達よ〜!」
その瞬間、ズルッ!タケシ、派手に転倒。ボードごとひっくり返り、海に落ちた。
ハルキ「タケシさん、カメラ回ってます!」
タケシ「回すなぁぁぁ!」
ミツエは腹を抱えて笑った。
「タケシさん、最高のネタだねぇ!」
タケシ「ネタじゃないさぁ!!」
撮影の合間。ミツエはハルキに聞いた。
「ハルキくん、編集できるって言ってたけど、前は何してたの?」
ハルキは少し照れながら言った。
「実は東京で映像の仕事してたんです。でも、忙しすぎて体壊して、気づいたら何が楽しいのかわからなくなってて」
ミツエ「それで沖縄に?」
ハルキ「はい。人生を楽しんでる人を見たくて、そしたら、ミツエさんたちの投稿が目に入って」
ミツエ「私たちの?」
ハルキ「はい。60代で海に落ちて笑ってる人たち見て、あ、人生ってこうでいいんだって思ったんです」
ミツエは胸がじんわり温かくなった。
(私たちの楽しさが、誰かの背中を押したんだねぇ)
その夜。ハルキが編集した動画がアップされた。タイトルは[60代SUP部、初日から海に落ちる]
ミツエ「タイトル雑じゃない?」
ハルキ「バズるにはこれくらいがいいんです」
タケシ「俺の落ちるとこ使ったのか」
アヤ「お母さん、再生数見て!」
画面には、再生数:12,000回。
ミツエ「えっ、なんで!?」
アヤ「コメントもいっぱい来てる!」
- 60代でSUPすごい!
- ミツエさん可愛い
- タケシさんの落ち方で笑った
- ハルキくん編集うまい
- なんか元気出た
タケシ「俺の落ち方で元気出るのか?」
ミツエは画面を見つめながら思った。
(誰かの笑顔につながるって、こんなに嬉しいことなんだねぇ)
夜。ミツエとアヤはベランダで海風に当たっていた。アヤはぽつりと言った。
「お母さん、私、沖縄に帰ってこようかなって思ってる」
ミツエ「えっ?」
アヤ「東京で働くのも楽しいけど、なんか最近、心が疲れてて。お母さん見てたら人生ってもっと楽しんでいいんだって思った」
ミツエは優しく言った。「アヤ、帰ってきてもいいし、帰らなくてもいいよ。大事なのはどこで過ごすかじゃなくて、どう過ごすかさぁ」
アヤは涙をこぼした。「お母さん、かっこよすぎるよ」
ミツエは笑った。「かっこよくないよ〜。ただ、60歳になってやっと気づいただけさぁ」
寝る前。ミツエはスマホを見ながらつぶやいた。
「私、もっといろんな人に会いたいさぁね」
その瞬間、通知が来た。
「60代SUP部に入りたいです!」「沖縄行ったら一緒にSUPしたい!」「ミツエさんの笑顔に救われました」
ミツエは胸が熱くなった。
(私の面白そうが、誰かのやってみようにつながるなら、それって、すごいことさぁね)
ミツエはそっと目を閉じた。「よし。60代SUP部、もっと大きくするかねぇ」沖縄の夜風が、新しい夢の始まりを優しく祝福していた。
全国ニュース

ミツエ(60)は、朝のさんぴん茶を飲みながらスマホを見ていた。アヤ(35)が叫んだ。「お母さん!これ見て!」画面には、《全国ニュース:60代SUP部が話題に》
ミツエ「えっ、なんで!?」
アヤ「昨日の動画、再生数10万回超えてる!」
ミツエ「10万!?」
アヤ「コメントもすごいよ!」
- 60代でSUPすごい
- ミツエさんの笑顔に癒された
- タケシさんの落ち方で腹筋崩壊
- 沖縄行きたくなった
ミツエは頭を抱えた。
「タケシさんの落ち方で全国に笑われてるさぁ」
アヤ「いや、褒められてるよ」
その日の午後。残波岬のビーチに集合した60代SUP部。タケシ(62)は胸を張っていた。
「全国ニュースに出た男、タケシです!」
ミツエ「調子に乗るなぁ」
ハルキ(28)は苦笑い。「タケシさん、今日は落ちないようにしてくださいね」
タケシ「任せろ!今日はプロSUP乗りとして」その瞬間。ズルッ!タケシ、また落ちた。しかも今回は、ボードが跳ねて、派手に回転しながら海に飛んだ。
ハルキ「タケシさん!カメラ回ってます!」
タケシ「回すなって言ってるだろぉぉ!」
ミツエは腹を抱えて笑った。「タケシさん、全国ニュース第2弾だねぇ」
タケシ「やめてくれぇ!」
撮影が終わった頃。ビーチに見知らぬ女性が現れた。「ハルキ?」
ハルキ「えっ?ミナミさん!?」
ミツエ「誰ね?」
ハルキは少し気まずそうに言った。
「東京で一緒に働いてた先輩です」
ミナミ(30)は言った。
「ハルキ、突然辞めて心配してたんだよ。まさか沖縄で60代SUP部に入ってるなんて」
タケシ「いいだろ?うちの若手部員よ!」
ミナミ「若手?」
ハルキは照れながら言った。
「ミナミさん。僕、ここでやっと楽しいって思えるようになったんです」
ミナミは少し涙ぐんだ。
「よかった。あなた、ずっと無理してたから」
ミツエはそっと言った。
「ミナミさんも、ちょっと休んでいきなさいよ〜。沖縄は、心の休憩所さぁ」
ミナミは笑った。
「いいですね、それ」
夕方。アヤはミツエと海辺を歩いていた。
アヤ「お母さん、私、本当に沖縄に帰ってこようかな」
ミツエ「アヤ、東京の仕事は?」
アヤ「楽しいけど、なんか生きてるって感じがしなくて。お母さん見てると、人生ってこうやって楽しむんだって思う」
ミツエは優しく言った。
「アヤ、帰ってきてもいいし、帰らなくてもいいよ。大事なのはどこにいるかじゃなくて、どう過ごすかさぁ」
アヤは涙をこぼした。
「お母さん、ほんと強いね」
ミツエ「強くないよ〜。ただ、60歳になってやっと肩の力が抜けただけさぁ」
夜。ミツエは、YouTubeのコメントを見ながらつぶやいた。
「私、もっといろんな人と繋がりたいさぁね」
そのとき、通知が来た。
「60代SUP部に入りたいです!」「沖縄行ったら一緒に漕ぎたい!」「ミツエさんの笑顔に救われました」
ミツエは胸がじんわり温かくなった。
(私の面白そうが、誰かのやってみようにつながるなら、それって、すごいことさぁね)
アヤが言った。
「お母さん、60代SUP部のイベントとかやったら?」
ミツエ「イベント!?」
タケシ(電話越し)「いいねぇ!やろうやろう!」
ハルキ(電話越し)「僕、企画できます!」
ミツエ「ちょ、ちょっと待って!」
でも、胸がちむどんどんしていた。
「面白そうね。やってみるかねぇ」
沖縄の夜風が、新しい未来の扉をそっと開けていた。
SUPイベント

朝8時。残波岬のビーチは、いつもよりにぎやかだった。[60代SUP部・初イベント開催!]という手作りの横断幕が風に揺れている。ミツエ(60)は、胸がちむどんどんしていた。
「タケシさん、本当にこんなに人が来るの?」
タケシ(62)は胸を張った。「来るさぁ!全国ニュースに出たんだから!」
ハルキ(28)は受付で忙しそうにしている。
「ミツエさん、参加者50人超えました!」
ミツエ「50!?」
アヤ(35)は笑った。
「お母さん、人気者だね」
ミツエ「いやいや、タケシさんの落ち方が人気なんだよ〜」
タケシ「やめてくれぇ!」
イベントが始まり、参加者たちはSUPボードを持って海へ向かった。タケシは、「今日は絶対に落ちない!」と宣言していた。しかし、参加者の前で張り切って見本を見せようとした瞬間。ズルッ!タケシ、また落ちた。しかも今回は、ボードが跳ねて、タケシの頭に軽くコツン。
タケシ「いってぇぇぇ!」
参加者「タケシさん、大丈夫!?」
ミツエ「タケシさん、今日も安定の落ち方だねぇ」
タケシ「安定いらんさぁ!」
ハルキはカメラを回しながら言った。
「タケシさん、これまたバズりますよ」
タケシ「バズらんでいい!!」
イベントの合間。ミツエはミナミ(30)と話していた。
ミナミ「なんか、ここにいると心が軽くなるんです」
ミツエ「沖縄はね、心の休憩所さぁ」
ミナミ「ハルキがここで元気になった理由、わかる気がします」
ミツエ「ミナミさんも、ちょっと休んでいきなさいよ〜」
ミナミは少し迷ってから言った。
「実は、会社辞めようと思ってるんです」
ミツエ「おお。思い切ったねぇ」
ミナミ「東京に戻るより、しばらく沖縄にいたい。ここで、もう一回楽しいを探したいんです」
ミツエは優しく微笑んだ。
「いいと思うよ〜。人生はね、楽しんだもん勝ちさぁ」
ミナミは涙ぐんだ。
「ありがとうございます」
イベントが終わり、夕暮れのビーチでアヤとミツエは並んで座っていた。
アヤ「お母さん、今日のイベント見てて思ったんだけど」
ミツエ「うん?」
アヤ「私も誰かの背中を押せる仕事がしたいなって」
ミツエ「アヤ、今の仕事は?」
アヤ「嫌いじゃないけど、なんか生きてるって感じがしなくて。今日のお母さん見てこういう生き方もあるんだって思った」
ミツエは海を見ながら言った。
「アヤ、人生はね、何歳からでも変えられるさぁ。大事なのはどこにいるかじゃなくて、どう過ごすかよ」
アヤは涙をこぼした。
「お母さん、ほんと強いね」
ミツエ「強くないよ〜。ただ、60歳になってやっと肩の力が抜けただけさぁ」
夜。イベントの片付けを終えたミツエは、海風に吹かれながらスマホを見ていた。YouTubeには新しいコメントが続々と届いている。
- イベント参加してよかった
- ミツエさんの笑顔に元気もらった
- 60代でも挑戦できるって知った
- 次のイベントも参加したい
ミツエは胸がじんわり温かくなった。
(私の面白そうが、誰かのやってみようにつながってる。それって、すごいことさぁね)
そこへタケシがやってきた。
「ミツエさん、今日のイベント大成功だったねぇ」
ミツエ「タケシさんのおかげよ〜。落ち方が最高だったさぁ」
タケシ「褒めてないよね、それ」
ハルキも笑いながら言った。「ミツエさん、次は全国ツアーとかどうです?」
ミツエ「全国!?」
アヤ「お母さん、やろうよ。お母さんならできるよ」
ミツエは空を見上げた。
(面白そう)
そして、ゆっくりうなずいた。
「よし。60代SUP部、全国に行くかねぇ」
沖縄の夜風が、新しい未来の幕開けをそっと祝福していた。
朝6時。那覇空港の出発ロビーは、まだ眠そうな空気に包まれていた。ミツエ(60)は、SUPボードのミニチュアキーホルダーを握りしめながら言った。
「ちむどんどん」は、沖縄の方言で「胸がドキドキ・ワクワクする気持ち」を表す言葉です。Google検索より
「タケシさん、本当に行くの?全国ツアーなんて」
タケシ(62)は胸を張った。「行くさぁ!俺たちは全国に笑いを届ける60代SUP部よ!」
アヤ(35)は笑いながら言った。「お母さん、なんか芸能人みたいだよ」
ハルキ(28)はカメラを回しながら言った。「ミツエさん、今日の動画は全国ツアー出発編です」
ミナミ(30)は静かに微笑んだ。「なんか、すごいことになってきましたね」
ミツエは深呼吸した。(60歳でこんなことになるなんて、誰が想像したさぁね)
羽田空港に到着すると、テレビ局のスタッフが待っていた。「仲村ミツエさん、金城タケシさんですね!番組出演、よろしくお願いします!」
ミツエ「えっ、テレビ!?」
タケシ「テレビ!?」
スタッフ「はい。沖縄の元気なシニア特集で特にタケシさんの落ち方が話題でして」
タケシ「落ち方!?」
ミツエ「タケシさん、全国に落ち方がバレてるさぁ」
タケシ「褒められてないよね、それ!」
スタッフは続けた。「タケシさん、ぜひ沖縄代表として落ちてください」
タケシ「落ちるのが代表って何ね!?」
ミツエは笑いすぎて涙が出た。ツアーの合間。湘南の海辺で、ハルキとミナミが並んで座っていた。
ミナミ「ハルキ、沖縄に来てから変わったね」
ハルキ「うん。ちゃんとしなきゃって思ってた頃より、今の方がずっと楽しい」
ミナミ「私も沖縄に残ろうかなって思ってる」
ハルキ「本当に?」
ミナミ「うん。あなたが楽しそうにしてるの見て、私も、もう一度楽しいを探したい」
ハルキは照れながら言った。「じゃあ、一緒に探しましょう」
ミナミは小さく笑った。「うん。一緒に」海風が、二人の距離をそっと縮めていった。
ツアー最終日。ホテルのベランダで、アヤはミツエに言った。「お母さん、私、沖縄に帰ってこようと思う」
ミツエ「アヤ」
アヤ「東京で頑張るのもいいけど、なんか生きてるって感じがしなくて。お母さん見てたら人生ってもっと自由でいいんだって思った」
ミツエはアヤの手を握った。「アヤ、帰ってきたらいいさぁ。沖縄はね、人生をやり直す場所でもあるんよ」
アヤは涙をこぼした。「ありがとう、お母さん」
ミツエは優しく微笑んだ。「アヤ、人生はね、楽しんだ人が最後に勝つさぁ」
沖縄に戻った翌日。ミツエは残波岬の海を眺めながら、胸の奥がじんわり温かくなるのを感じていた。そこへタケシがやってきた。「ミツエさん、全国ツアー大成功だったねぇ」
ミツエ「タケシさんのおかげよ〜。落ち方が最高だったさぁ」
タケシ「褒めてないよね、それ!」
ハルキとミナミもやってきた。「ミツエさん、次の企画考えましょう!」「今度は60代SUP部・全国交流会とかどうです?」
アヤも笑顔で言った。「お母さん、私も手伝うよ」
ミツエは空を見上げた。(60歳からの人生が、こんなにちむどんどんするなんて若い頃の私に教えてあげたいさぁね)そして、ゆっくり言った。「よし。60代SUP部、次は海の向こうに行くかねぇ」
タケシ「海外!?」
ミツエ「面白そうでしょ?」
タケシ「面白そうなら行くしかないさぁ!」
ハルキ「動画、絶対バズります!」
ミナミ「私、英語できます!」
アヤ「お母さん、ほんと止まらないね」
ミツエは笑った。
「止まらんよ〜。人生はね、何歳からでも動き出すさぁ」
沖縄の海風が、新しい未来へ向かう彼らの背中をそっと押していた。

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